平成20年6月4日の国籍法違憲判決 | My事務所Blog
2008年06月07日(土) 23時42分22秒

平成20年6月4日の国籍法違憲判決

テーマ:在留資格・家族関係

既に新聞などでも報道があったように 、平成20年6月4日に国籍法の規定に関する違憲判決が示されました。


日本では婚姻関係のない日本人の父と外国人の母の間に生まれた子について、父が生前認知した場合は出生と同時に日本国籍を取得できます。つまり、両親の婚姻は必要ではありません


しかし、生後認知の場合は国籍法3条が、両親の婚姻を国籍取得の要件としています。このように、生前認知と生後認知により、両親の婚姻の要否が異なるため、これが合理的理由のない差別的取扱いとして憲法違反とされました。




さらに、判決は国籍法3条が要求する婚姻について、憲法違反とするだけではなく、以下のように解釈して原告のお子さん達に日本国籍を認めました。


国籍法3条 1項の規定を分解すると、以下1)から4)の要件を満たし、5)の届出をすることで、6)のように日本国籍を取得できます。

1) 父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子

2) 二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、

3) 認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、

4) その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、

5) 法務大臣に届け出ることによつて、

6) 日本の国籍を取得することができる。

この1)の「父母の婚姻」という部分があるため、両親の婚姻が国籍取得の要件となってしまいます。そこで、判決はこの1)を無効とし、以下の0)という前提の下、その他の規定は有効としました。その結果、原告に日本国籍が認められたことになります。

0)日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し,父から出生後に認知された子で

1) 父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子

2) 二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、

3) 認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、

4) その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、

5) 法務大臣に届け出ることによつて、

6) 日本の国籍を取得することができる。


実は、このような解釈については反対意見もあります。つまり、法律を作るのは立法府である国会の権限であり、上のように法律の一部を無効として解釈することは、裁判所がいわば法を作るようなものであり、許されないのではないかという議論です。事実、判決文においては一部の裁判官はこの反対意見を述べています。しかし、これは法律の本来の趣旨に沿った解釈であり、裁判所にはそのような解釈をする権限が付与されていることからこの解釈が最終判断となりました。



なお、3)と4)についてはその子供の出生時と届出時点で父親が日本人であればいいので、普通は問題にならないと思います。しかし、生後認知の場合にも依然として2)と5)が要件となるため、その子供が二十歳未満のうちに届け出ることが必要となります。


そのため、その子供が20歳以上の場合には届出だけでは日本国籍を取得することはできなくなります。そのような場合には、帰化許可申請をすることになります。ただし、「日本人の子」であるため、帰化条件の一部である5年間の日本居住条件や生計安定条件が免除されます。これを簡易帰化といいます。詳しくはこちらもご覧下さい。





■参考:


日本人と外国人の間にお子さんが生まれた場合、日本国籍を取得できる場合とできない場合があります。そのフローについて以前ブログに書きました。 詳細はそちららに譲りますが、そこでも説明した以下のフローの赤矢印の部分、つまり「生後認知→日本国籍なし」の部分が今回の判決で違憲とされ、その場合にも日本国籍取得の道が開かれました。


日本人と外国人の子供の日本国籍取得



6月5日の毎日新聞記事 によると、「鳩山邦夫法相は5日の参院法務委員会で『基本的には改正する方向で検討していかなければならない』と述べた。」とのことです。さらに、「法務省民事局は今回の訴訟の原告と同様の問題を持つ子供から国籍取得の申請があった場合、可否を判断せずに申請書を預かるよう、全国の法務局に指示した。」とのことです。


裁判に取り組まれた方々の努力が実り、多くの方々にとって朗報となったのかと思います。








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