塾生の脚本を読んで展開に疑問があれば、その根拠や意図を問います。返ってきた答え
に該当するエピソードや台詞を求めて再度検証します。しかし脚本のどこを探しても見当
たらないことがあります。結果現状では、意外性と受け取るにしてもムリがあり、論理の
飛躍としか言わざるを得ません。納得性に欠けます。つまり安易な発想(思いつき)で書
かれた……と判断できます。
その旨を伝えると、
「そんなつもりではなかった」
「よく検討したはずなのに」
「これで伝わるだろう(と思っていた)」
などのコメント(謙遜? 希望的観測? 言い訳? 愚痴?……)が聞かれます。
塾生ならアドバイスし不備を改良(改訂)していけます。しかし脚本コンクールへの応
募だとそうはいきません。送った原稿に書かれた内容がすべてです。審査員から問い合わ
せもなければ、審査会場に乗り込んでエピソードや台詞の意図を説明できるチャンスはあ
りません。
成長のカギは、まず『つもり癖・はず症候群・だろう病』を脱却することです。
──どうすれば脱却できるか。
要点だけですが、挙げておきます。
◆意識改革
↓
◆なに? どうして?(疑問)を投げかける ←────────────┐
↓ ↑
◆客観性・分析力・吸収力・発想力・表現力・堅実性・論理性を養う │
↓ ↑
◆脚本創作の過程(検討・構成・執筆)をおろそかにしない │
↓ ↑
◆観点・根拠・意図を明確にする │
↓ ↑
◆コンクールの締め切りに囚われない │
↓ ↑
◆一日一回は作品と向き合う(考える) │
↓ ↑
◆作品に集中する │
↓ ↑
◆要所ごとにチェックする(PDCA → PCA・DCA) │
↓ ↑
◆焦らない・ノンビリしない・断念しない │
↓ ↑
◆向上心を保つ(さらなる意識改革) │
↓ ↑
└────────────────────────────────→┘
このほかにも有効と考えられる術(すべ)があれば実践して、自分に合った創作の流儀
を確立することです。ぜひ脱却して「これでどうだ!」といえる、そして「よく考えられ
た作品だ」と評価してもらえる、脚本創作に取り組んでほしいですね。