めぼとやいとと知恵袋 | 交心空間

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◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇

「かあちゃん、目がコロコロする」
「どれ、こっち来てみんさい……ああ、めぼができちょるわ。やいとすえたら
治るよ。藻草持っておいで」
「熱いよォ……」
「熱いけえ、びっくりしてめぼが引っ込むんよね。はい、親指だしてみんさい」
「アアアーーーーーッ」
「我慢しんさい」


 ──もの凄い理屈でした。


 めぼ(目の縁や瞼の裏にできる腫れ物。ものもらい)ができると、私は決ま
ってやいと(お灸)をすえます。天応のばあちゃんの教えです。めぼができた
ほうと同じ手の親指、爪と肉の境目にひとつまみの藻草を乗せてやいとをすえ
ます。一回にやいと五つぐらいかな。まあ、二日か三日すえれば治ってました
ね。(ニコッ)


 もちろん今でもそうします。ですから私は、めぼで目医者にかかったことは
一度もありません。実は先日も目がコロコロしていたので、花粉症じゃないで
すよ、瞼の裏に何か出来ているのが分かるんです。「あれ、めぼかな」って感
じです。早々にやいとをすえましたね。効果覿面(こうかてきめん)、次の日
にはコロコロはとれてました。

 昔の人の知恵というか、やることは凄い。『魚の骨が喉につまったらゴハン
を丸呑みする』『夏にあせもができたらスイカの皮でこする』『頭が痛いとき
は米粒をこめかみに貼る』……等々。おふくろが天応のばあちゃんから受け継
いだ生活のノウハウです。「わきゃわからん」と言いたくなることばかりです
が、これが不思議と効いてしまうのですから、ばあさまの知恵は本当に凄い!


縁側で死にんさい (2006年9月4日/天応のぶちええばあちゃん)
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