交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


テーマ:

 20日、夏休み中の塾生・ライ麦畑さん(大学生)が、高速バスで片道4時間
かけて広島にやってきた。わずか6時間の広島滞在だが、ドラマのあり方を話
したり、今彼が取り組んでいる作品について打ち合わせた。


 メールや電話よりも、面を突き合わせて話すと相手の表情が読み取れたり、
身振り手振りや紙にイメージを書きだしながら話せる。『会って話す』のが相
互理解を深める一番の方法であると実感できた。
 いろいろ伝えたかったのでしゃべりすぎたかもしれない。どれだれ吸収して
くれたか心配だが、大事なのは『考え方の方向性』である。ところが彼はまだ
若い。それだけに、経験不足から何をどう考えるかが不安定であり、そのため
に回り道の創作をしてしまう。


 ──経験は理屈では身につかない。経験を積むしか方法論はないのだ。


 彼の考えの方向が間違っていないかをチェックするのが私の役割だ。考え、
間違え、指摘し、修正を繰り返している。本当に三歩進んで二歩下がるの創作
で、すでに一年以上ひとつの作品に取り組んでいる。だからといって、私は一
直線の近道を示すことはしない。角度を変え、言葉を換え、たとえ話を持ち出
し、ときには別の話に転じてまた本論に戻す。ある意味「迷走」させているの
かもしれない。しかしそれは「考え方を実感」してもらいたいからだ。
 長い創作期間に「そろそろ嫌気をさしているかも」と感じた日もある。この
日もその心配を頭のどこかに置いて会った。話したり表情を見ていれば、上辺
のやる気か空回りか、それらも窺える。しかしその様子は欠片も感じられなか
った。彼は、熱心に耳を傾け、聞き取れないときは聞き返し、お店のテーブル
にこれまで交わした資料(メールのプリントアウト)を散乱させ、こまめにメ
モを取り、肝心と思うところは質問をぶつけてくる。


 ──それでいい。その繰り返しが創作の血となり肉となるのだ。


 登場人物のキャラクターやストーリー展開において、いくつかのパターンを
組み合わせれば、それらしい「脚本」は書けるだろう。しかしそれだけである。
私は、それを「ドラマ」とは呼ばない。「お話」と呼ぶ。打ち合わせの中で、
パターンでは紹介できない『ドラマ性を生む方向』もチラリと話した。それは、
私が経験で身につけた「ドラマとは何か、どうあるべきか」の持論を、この作
品に照らし合わせてアイディア化したものだ。気づいたかどうかは、彼の脳ミ
ソの消化率が証明してくれるだろう……。


 ──この創作はまだまだ続く。秀作に取り組むとはそういうものだ。


 彼が取り組んでいる作品のおもしろさを(私は)確信している。登場人物の
ユニークな設定と舞台背景の特異性が、このドラマのウリだ。それには必ずや
完成し、いつの日か世に発表できるよう深く願っている。


 そして最後に『この創作は仕事である意識をもって取り組むよう』伝えて、
彼を「お疲れさん」の一言で見送った。


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