交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


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 18日の記事で「ラジオドラマの収録は大抵が冒頭からの流れに沿って収録す
る」と言いましたが、この流れを覆すのが『子役』の存在です。ラジオだけで
なくテレビも(連続ものでレギュラーなら別でしょうが)同様です。
 子役のいるプロダクションや劇団に依頼して、ちょい役の子供を頼んだとし
ましょう。勿論、事前にオーディションでイメージに合った子供を選んだうえ
です。「では、何日の何時に来てください」という段取りになり、当日その子
がマネージャーに連れられてやって来ます。ときには、我が子が心配なのか、
親が付き添って来ることもあります。
 子役が到着すると、それまでの収録を一旦止めて、子供が出演するシーンに
切り替えます。子役の部分を先に録り終えてしまうのです。収録に慣れた子役
ならいいのですが、それでも子供は大人以上に「生もの」ですから、その日の
ご機嫌次第で、テイク1、テイク2、テイク3……と時間が費やされます。本
当にちょい役なら、「こんなところでしょう」と演出家も妥協するのでしょう
が、これがドラマに多大な影響を及ぼすとなると、演技付けにあの手この手で
大奮闘です。


 NHKのFMシアター『夢の香り』で、五歳くらいの男の子が水流に呑み込
まれて助けを求める声が絶対必要でした。五年前に流産した子供の、現在とオ
ーバーラップさせたイメージシーンです。台詞は「助けて」の一言ですが、こ
れが大変でした。
 遠くにいる人に聞こえるように「助けてー!」と大声で伸ばしたり、息絶え
る瞬間のもの悲しさを表現して「助けて……」と絶句したり、いろいろな「助
けて」を録りました。五歳の子供にシーンの情景や意図を説明しても解るもの
ではありません。小さな声でベソかきながら言ってみて、などと現実的に演技
付けしていきます。
 結構録りましたか。子供は何のことか解らないまま「助けて」の連発で、そ
れが終わるまで他の役者たちは待ち時間となり、演出を担当したディレクター
と子供の戦いが終わったとき、それぞれが台風でも去ったような気になったの
ではないでしょうか……。


「お疲れさんでした! ボク、バイバイ」
 子供を送り出したあと、「収録再開しま~す」とディレクターの声が響き、
また次のシーンの収録が続けられました。
 みんな、元気だわァ……。私が書いたワンシーンのために奮闘してくれてい
ることを、つくづく感じたときでした。

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