友人とたわいもない話しをしていたときです。
友人「ところで、岡田健二は遠藤千明の何なんや？」
坂本「？？？？？？（固まった）」
友人「（更に強く）何なんや！」
坂本「え？ 誰ね、岡田健二いうて。（古い話と思いながらも）エンドウチアキいうたら、
ココリコの一人と結婚した、あの千秋のこと？」
友人「違うよォ。遠藤千明いうたら、看護婦の！」
坂本「はい？……誰のこと言いようるん？ 分からんわ」
友人「じゃけえ、夜中に素っ裸でベランダに立つ女よ！」
坂本「ァ～ン……（顔がほころんで、笑いが込み上げる）……何じゃ～、その千明かいね」
友人「他に誰がおるんや。岡田健二と千明の関係は、何なんや？」
坂本「（まだ笑っている）……婚約者……（笑いから抜け出せない）」
何てことはない。小説集『背中の男』の中の作品「ミッドナイト・ロジカル」に登場す
る人物のことでした。岡田健二は名前だけの登場ですが、千明は主人公（陽介）の相手役
です。確かに友人の言うとおり、千明は陽介と喧嘩をしたあげくベランダに出て立ちすく
みます。それも素っ裸で……。
それなのに、現実の日常会話の中で突然振られると、ピンとこない自分とフィクション
の世界の話に真顔で問いかけてくれた友人のユーモアに、バカ受けした自分がいました。
読んでくれたんだ！
笑いの中で友人に感謝し、また現実の話題に戻っていきました……。