あの日はとても暑くて賑やかで
違うか
百花の最期の1週間の
どこかが賑やかだったんだっけ
盆踊りとかかな
いまにも絶えてしまいそうな
ちっちゃい百花のいのち
みんなお祭りが
たのしいんだろうな
賑やかで
つらい
奇跡的に
病院で点滴をしてもらって
のびすぎた爪を切ってもらって
その日
起き上がって
歩いてびっくりした
たのしそうに
ととと
軽やかに歩いた
じぶんでトイレまで行けて
もしかして
治るのかなって期待して
7日目だったとおもう
夜中
暴れて叫んで
時々
苦しいからか
ばたばた手足を動かして
きゃーーーーーー
って叫ぶんだ
抱いておさえて必死で祈った
たぶん
でも
トイレ行ってくるね
もももちっちしなさいね
もも
顔をすこし上げて
じっと
わたしをみた
もどってきたら
起き上がれないのに暴れて
叫んで
抱いたらすーっと
ちからが抜けていくのがわかった
記憶が混乱していて
戻ってきたら
もう
だったのかな
わからない
なまえを呼ぶといいって
かあちゃんが言うから
呼んだ
でも返事の代わりに
おしっこ
ざばー
着ていたワンピースがべっしょり
ももは目を閉じず
旅立った
亡くなるすこし前
起き上がれなくなってから
母が台所に居るところを
眺めるのがすきだったなって
ふとおもって
百花が寝ていた座布団を
そーーっと動かして
抱っこして
母をみせてあげたとき
ぱぁっと表情が変わって嬉しい嬉しいって
尻尾が動いた
そのまま
すよすよと膝の上で
眠るように
逝くのかって感じだったのに
ワンピースがよだれでびっしょり
百花ちょっと着替えてくるよって
起こしてしまった
もしここで終われたら
まだ良かった
あの叫んで暴れる時間が減らせた
可愛い子に可哀想なことを
強いた
起き上がれた
必死でトイレ
うんちどっさり
うんち踏んだ
これが最期のうんち
前あし手って
洗面所で洗ったら
苦しい声で鳴いた
もう起き上がれなかった
病院からいただいたシリンジで
なんどもお水を飲ませた
飲み込めなくなって
続く
🦆