2012-08-04 16:04:22

小説『二つの言葉をあなたに』

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右矢印前回作品 『呆気なく砕け落ちた二十歳の殻』

■作品タイトル
『二つの言葉をあなたに』

■作者
MIMARI

■スキルアート
小説

■紹介文
失くした後で気づく、本当に大切なもの。もう一度、あなたに会いたい。そして伝えたい。恋人には、もう戻れなくても。

■作品

 いつもあなたは優しかった。いつも私の側にいてくれた。小さな我が儘は、微笑って聞いてくれた。「あそこのランチ、あっでもここのがいいかな。」「今度 のお休み、あの遊園地に行こうよ。」とても楽しかった。とっても幸せだった。私は愛されてる。友達にも羨ましがられた。「いい彼氏、見つけたよねぇ。」 「いいなぁ、よかったね。」彼は私の自慢だった。この上なく満足だった。

 そんな夢のような日々の中の、いつの頃からだったのだろうか。私は気付かなかった。あなたのその、まるでそよ風にように爽やかで柔らかな笑顔の翳りに。

 私はいつしか、いい気になっていた。あなたに、ただ甘えるばかりになっていた。自分のことしか見えなくなっていた。「今すぐ今夜どうしても会いたい の!」「終電なくなちゃった。迎えに来て。」我が儘が、当たり前のことのようになっていた。「ありがとう」も「ごめんね」も、言わなくても分ってくれてい ると思っていた。

 もう何度目のデートだっただろう。街の中の、二人が好きでよく訪れる公園を、のんびりと歩いているある日の午後だった。私にとってそれは突然の、冷たい 風が私の体を吹き付けたような、あなたからの言葉。「…別れよう」「えっ?」自分の中の時間が止まった。言われていることが、よく理解できなかった。何の 言葉も返せないまま、ただ立ち尽くすしかなかった。

 眉をひそめ俯き加減にあなたは、そこに動けずにいる私をおいて、そっと歩き出した。そして一度も私を振り返ることもなく、あなたは公園を一人で出で、夕暮れの街へと消えて行った。

 「ごめんね」そして「ありがとう」恋人には、もう戻れなくても。一度でいい。たった一度だけでいい。あなたに会いたい。あなたに会って、この二つの言葉を、今はただ伝えたくて。


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