世界選手権は、冬季オリンピックに遅れること7年、1931年に第1回をスイスのミューレンで開催された。日本でいうと昭和6年のことである。開始当初は毎年開催されていたので、オリンピックが4年周期の開催なので、合間の年は世界選手権が「世界最高峰」の大会となっていた。

 1939年の大会が終わってから世界に戦火の暗雲が立ち込め、スキーの大会どころではなくなり、オリンピック、世界選手権の中止はもとより、選手の多くは戦争へ駆り出された。

 本格的に各大会が復活したのは戦火が収まり、人々の生活が再び未来へ向かって歩み始めた1948年からである。オリンピックは1948年に、そして世界選手権は1950年から再開された。世界選手権は戦前は毎年開催されており、4年に1回のオリンピックと重なる年はオリンピックが世界選手権を兼ねて行われていた。したがってその重複した年はオリンピックのメダリストはそのまま世界選手権のメダリストでもあった。

 1950年、アメリカのアスペンで復活開催されて大会に日本は復興途上のため不参加ではじめて出場したのは4年後(戦後の再開から開催周期はオリンピックと同じ4年に1回となった)の1954年、スウェーデンのオーレからその一歩を印した。

2005  Bormio(ITA)

男子 滑降  金/MILLER Bode(USA)

   回転  金/RAICH Benjamin(AUT)

       18/湯浅直樹

       23/岡田利修

     途中棄権/佐々木明

     途中棄権/皆川賢太郎

   大回転 金/MAIER Harmann(AUT)

       26/吉岡大輔

     途中棄権/佐々木明

   スーパーG/MILLER Bode(USA)

   複合  金/RAICH Benjamin(AUT)

女子 滑降  金/KOSTELIC Janica(CRO)

   回転  金/KOSTELIC Janica(CRO)

       21/星 瑞枝

       23/湯本浩美

       24/柏木久美子

     途中棄権/廣井法代

   大回転 金/PAERSON Anja(SWE)

       30/廣井法代

       34/星 瑞枝

   スーパーG/PAERSON Anja(SWE)

   複合  金/KOSTELIC Janica(CRO)

 今大会は、男女とも限られた国、限られた選手によって各5種目すべてが制覇された。まず男子だが、アメリカのボディー・ミラーが滑降とスーパーG2種目で金メダルを獲得、オーストリアのベンジャミン・ライヒが回転と複合、大回転は同じオーストリアのヘルマン・マイヤーが金メダル、ライヒが銀メダルを獲得。

 女子はクロアチアのヤニッツァ・コステリッチが滑降、回転、複合とオールラウンダーぶりを発揮するとスウェーデンのアニヤ・パーションは大回転とスーパーG2種目を制し、なんと2人で全種目金メダルという獲得するという、これも記録のひとつ。

 日本選手は男子が湯浅直樹、岡田利修、吉岡大輔、女子は星瑞枝、湯本浩美が“ニューパワー”として出場した。世界の厚い壁は寄せ付けてくれなかったが、わずかに湯浅が回転18位と可能性を見せてくれた。

ダウンヒル、スーパーG2種目で金メダルを獲得したボディー・ミラー