一昨日5月26日(月)「壺中100年の会」で第3回「四国でいちばん大切にしたい会社大賞」を受賞した「ウインテック株式会社」を見学してきたのでレポートしておく。この会社は工場内をなるべき無人化できるよう様々な機械を開発している会社で名だたる大手企業にも多くの製品を納入している。



最初の駄馬元社長のお話を自分なりにまとめてみる。

1.創業して15年くらいは全く利益が出ず苦労した。それ以降順調に社業が推移していったのは、自分の中の核の部分が「自分のための仕事」だったのが「社員、家族、お客様への思いやり」へと15年かかって移行できたからではないか。これは創業5年目くらいで誘っていただいた「論語の会」での勉強の影響が大きい。論語の神髄は「仁」(いたわりの心)と「忠恕」(相手に対する思いやり)の2つだと思っている。
息子の常務にはとにかく「人の世話をしろ」といってある。そのことで世話をする人の気持ちもわかってくる。

2.他社が出来ないと音を上げたことやあえて非常識なことに挑戦する。わが社の機械はとにかく壊丈夫、何十年かかっても壊れないものも多い。これは業界ではありえないこと。なぜなら、機械は壊れないと次回の受注につながらないから。しかし、これでやってきたからお客さんがついてくれた。目指すのは世界一の性能。今、東南アジアの工場で一番の機械なら世界一になれる。例え結果は伴わなくてもそれを目指すプロセスを体験することで得られるものが必ずある。営業は社内にはおいてなく、営業活動は商社を通す。他社と一目瞭然の製品なので、営業をおく必要はない。

3.社員や協力会社(「下請け」とは言わない)を大切にする。お客様からの理不尽な欲求で社員が苦しんでいるときに守れるのは立場的に社長しかいないので、そういうときは自ら出ていくときもある。
我が社はあえて加工機械を備え付けない。協力会社に作ってもらう。そのことで協力会社のサポート力を高め、つなかりを深める。値切らない、請求書とおり支払う、仕掛品も全部買う。

ざっとこんなところだが、私が印象的だと思ったは、上記の3の中で、社員のことを家族同様に考え、社員を守るためならかなりの無茶もあえて行ったエピソードだった。これは「任侠」や「ファミリー」にも通ずる何があっても身内は守るといった考えに貫かれており、垢抜けてないともとれるが、社長のこの強烈な個性が、「世界一の性能の機械」を目指す社長の厳しい要求にも、社内がバラバラにならず社員さんを一つにしているのだろう。

社長のお話の後、質疑応答、社内見学と続いたが、何より明るく生き生きを働いている社員さんたちの姿が印象的だった。「四国でいちばん大切にしたい会社大賞」を受賞したことで、社長だけでなく社員さんも「誇り」や「自信」が芽生えたのではないか。
帰りは接客業のようなホスピタリティーあふれるお見送りに、私自身も幸せな気持ちになって会社を後にした。