私は、歌が苦手だ…
歌う事は好きなのに、自信がない。
地声が好きではない。
可愛らしい声ではなく、ちょっと低めの声。
あまり子供らしくない。
そんなことを思い始めたのは、5年生の3学期からだった。
それまでは特に声に興味がなく、なんとも思わなかった。
だが、SKEに入って、色んな歌を歌っていくうちに、「私の声、低いなぁ…。」「みんなの声は、なんであんなに綺麗なんだろう」と思うようになってきた。
青春ガールズ公演の時。
歌っていてキーが高いな、と思う曲がたくさんあった。
「なんで、こんなキーも出ないんだろう。」
悩んでいる時、裏声やミックスボイスを使って歌うことをネットで知った。
色々勉強してみて、それから高いキーの曲を歌ってみたりした。
「出しやすい!」と初めて思え、そこから歌うことがだんだん好きになっていった。
だが、カラオケに行き、いざマイクを使って歌ってみると…
思うように、裏声やミックスボイスが出ない…
大きい音を聴きながら、マイクで歌うのが難しかった。
いや、それだけではない。
裏声だと、声量が無いことにも気付かされた。
どうしても声が震えたり、だんだん小さくなっていったり…
「やっぱり、私は低い声でしか歌えないんだ。でも、この声に合う曲なんて…」
そして私は歌うことを諦めかけた。
月日が立ち、珠理奈さんの卒業コンサートが発表された数日後…
セットリストが送られてきた。
全体曲を見て、最後に「誰が出るんだろう?」とソロの部分に目を通すと、そこには…
「虫のバラード/林」
と書いてあった。
信じられなくて、何回も見直した。
偉大な先輩が歌う中で、私が…?
不安、恐怖、緊張、焦りが一斉に来た。
そこで春休み、自主練をしにカラオケに行った。
珠理奈さんにお会いした時、「みれいちゃんは、虫のバラードがとっても合うよ!」と言ってくださったのを頭の片隅に置き、マイクを持つ。
とりあえず地声で歌ってみた。
すると…最後まで歌いきれた。わりと低い曲で、私にぴったり。
声量もいい感じに出せて、とても嬉しくなった。
この時改めて、珠理奈さんはこんな私の事をちゃんと見てくださっていたんだ!!と実感した。
この曲だから、歌えたんだ!!!
それから行ける日は必ず自主練に行った。
そして、リハで初めて歌うと…
「歌いけるじゃん!すごいじゃん!」
と、珠理奈さんが褒めてくださった。
他にも、ダンスの先生方や、先輩方も「すごいね!」と仰ってくださった。
嬉しくて仕方がなかった。
心を落ち着かせ、迎えた本番。
やはり、本番は違った。
感情を込めやすく、声量も上がった。
夢のような時間だった。
だが、そんな時間も気付けばラスト。
周りを見渡すと、たくさんのサイリウムがキラキラと輝いていた。
ーこの場所で、珠理奈さんが私の事を思って選んでくださった「虫のバラード」を歌えて最高に幸せだったー
#SKE48 #松井珠理奈卒業コンサート
#虫のバラード