今、「虐待する人が信じられない」とSNSで過激な発言をしている人が

大勢いる。

 

では、その人達は

折檻死した子ども達を救おうと行動したのか?

育児経験のない10代が一番過剰な意見が多いのはなぜだろう。

 

10代で出産して、再婚や同居男に虐待された経験を持つ

子どもたちが、自分がこんなひどい目にあったから、

とか、

その時、助けてもらえなかった

などからの思いからきているなら、

ぜひ、

 

著者:杉山春

 

「育児放棄 ネグレクト 真奈ちゃんはなぜ死んだか」

を読んでみて欲しい。

 

ここには、10代出産の実母・雅美とその父・智則の

公判での弁護士や検事とのやり取りや、

逮捕後の「現実感なき愛を綴った手紙」のやり取りと、

 

雅美が母親の秀子に送った手紙を返事も書かず

マスコミに横流ししていたことが書かれています。

秀子に関して、マスコミに協力的で良心的だ。

などと、勘違いしてはならないと

わたしは思います。

 

 

施設に預けた大地に会いに行った。

下着などの服を提供せねばならないと知らなかった。

などなど、

重要なところで「平気でウソをつく」異常さは

他人や公共施設を巻き込んだもので、

確認すれば、すぐにバレるウソでもある。

(仮に広い心でみて)

世間の目を気にする慎ましい親を演じたい欲求の裏にあるのは、

自分を糾弾する声に耐えられない・自分のせいではないという責任転嫁

が見え隠れしているようでならない。

 

 

そもそも、自分もこういう育ちをしているので、雅美もこうあってほしい

というストーリーがあったような気がする。

自分は義父に性虐待を受けたり、

高度経済成長で洗濯機が自宅にあるのが当たり前な時代に

洗濯機がなくて衣服が洗えず不潔だったり

友人が作れず孤独だったり、

弟は可愛がってもらえて、自分は蚊帳の外だったとか

いろいろ虐待を受けてきてます。

その秀子が結婚し、子どもを生んでいる。

夫はパチンコ依存で、給料が振り込まれた日に食べ物を

買いにいかないと全てをパチンコで使われてしまう。

 

家族を捨て愛人についていった。

その愛人が名古屋に転勤して、自分は見つかり

強制的に連れ帰らされた。

なんでこのとき、離婚しなかったんだろう。

やはり子どもは要らないから

「お前が引き取れ」と言われるのが怖かったとか、

いろいろ心の問題があったのだろうか・・・。

 

雅美が母をどうして好きなのかわからない

といっている。

 

子どもが親を好きなのは世の中では

「当たり前」

のことだと平気で言ってのけるのなら、

愛も慈しみもなく育った子どもの存在を

なぜ当たり前として受け入れてくれないのか。

 

雅美も男兄弟はゲーム機を買い与えるなどの

差別をされて育っている。

ちょうど真奈が放置で大地だけかわいがってもらえたように。

 

秀子の母親は住む家を与えられるという援助をなされたが、

秀子は雅美を援助することはなかった。

強いて言えば、他人行儀なメールだけだった。

 

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発育不全は忌み子とされる。

発達の遅れや出産直後の母子分離、育ちの悪さが原因だ。

 

真奈はゆさぶられ衝撃症候群で脳手術を受けてから

笑わなくなった。

赤ちゃんが脳を損傷すると、40%が死亡・障害が残るといい、

生き残った子どもたちの追跡調査で

深刻な学習障害・行動障害を起こしていると発表された。

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智則も同じようなものだったが、聡子の気まぐれがさらなる混乱を

招いているともいえる。

真奈を産んだ後、家に連れ帰った条件が

勝手に変わっていく。

話し合ってルールを決めるのなら良いのだけど、

自分が可愛がりたいときだけ真奈を連れていき、

用事ができたから返却、

また、持って帰るという

まるで「ペットサービス」かのように感じました。

 

更に公判にあたって聡子と再婚した男を

智則は実の父のように思っていたが、

この男、再婚で姓を変更する歳、養子縁組することになるのだが、

それを解除した。

つまり、智則は名字がなくなったのだ。

養子縁組を解除し、「親でも子でもない」を実行した男なのだ。

元々、血のつながった父親じゃないから

犯罪者になれば血縁関係を切ることも簡単にできるだろう。

(倫理的にそこまでできる人間がいるかわからない)

 

親たちの勝手で再婚して名前を変えたのに、

今度は名前を名乗ることを許さないと子どもを捨てた。

聡子も雅美と離婚しろと言い、断った智則と一時距離を

取っていた。

 

この事件の裏に人間関係・親子関係の希薄さもある。

 

この親たちは我関せずなのか、

刑務所にいる子どもに会いに行ことせず、

差し入れもしない。

自分がしたいように行動するのは、刑を犯した後も変わらない。

秀子は雅美が理解できないという。

 

さて、こういった親が存在し、今後も類似の事件が起こるだろうと

危惧されて

今回、北海道で事件がありました。

 

 

雅美は拙いが真奈の弟・大地は育てていたから、

こういう判決になりました。

しかし、たいていの虐待は忌み子を放置し

その他の兄妹たちと普通に楽しく生活する

異常な家族が隠れて大勢あると思っています。

 

その背景には

「親の子どもがえり」があります。

大人になれない親たちのことです。