EMPIRE OF THE ANTS
監督: バート・I・ゴードン
音楽: ダナ・カプロフ
出演: ジョーン・コリンズ、ロバート・ランシング、アルバート・サルミ、エドワード・パワー、ジョン・デヴィッド・カーソン、ジャクリーン・スコット、パメラ・シュープ、ロバート・パイン、ブルック・パランス、ハリー・ホルカム
1977年 アメリカ映画


70年代の怪作「マッド・ボンバー」でお馴染みバート・I・ゴードン監督が、「巨大生物の島」に引き続いて放ったトンデモ巨大蟻SF。
奇しくも原作は前作同様、H・G・ウェルズ。
巨大生物ものは、この監督さんのライフワークだったんですかね。
確か子供の頃、「月曜ロードショー」で観たような記憶があります。
ストーリーは、海岸で放射性廃棄物が不法投棄されてて、そこへ蟻がたかってるところから始まって、
例によって放射能の影響で蟻が巨大化して人々を襲い始めます。
ただ、この蟻たち、人間を食うだけじゃなくて、自分たちの巣(砂糖工場)に追い込んで女王蟻のフェロモンガスを吹きかけて洗脳して、
働き蟻みたいに奴隷化しようと企んでいた・・・・というようなお話。
市長さんがさっさとガスで洗脳されて、住民を次々に女王蟻の元へ連れて行き、
「これは人間に忠誠心を吹き込む蟻の儀式だ」とばかりガスを嗅がせます。
お話がこんなトホホなレベルなら、SFXもこれまたすごい。
もうここまでくるとマカロニ・パチモンSFもお手上げの世界。
お粗末という言葉では片づけられない噴飯もののSFXに唖然とします。
ブルーバックでいい加減に実写映像と合成されたホンモノの蟻と、実物大のメカニカルヘッドの併用で
なんとか巨大蟻を表現しようとしています。
中でもあんまりなのは、桟橋からボートに乗り移る巨大蟻のシーン。
あれ、フィルムに直接フェルトペンで書いたんじゃないかと思えるくらいの不自然さ。
最新CGで育ったうちの息子たちには間違っても見せられません。


音楽は、傑作戦争映画「最前線物語」を手がけたダナ・カプロフ。
個人的には、「最前線物語」が素晴らしいので、ついひいき目にみてしまいますが、
サントラ盤自体、製作数が少なく、不遇な作曲家といえます。
本作は、テーマもあんまり明確なメロはなく、パニックSFらしくアンダースコア中心の律儀な仕事をしています。
「ブパッ、ブパッ、ブパブパッ」というホーンの下品なバッキングに代表される安っぽい劇伴も映像とベストマッチ。
この人、もともとTVサイズなスコアを書く人なので、小ぶりなオケは致し方ないところでしょうか。
なんでこんなトンデモ映画を紹介したのかと言うと、
なんと米Kritzerlandレーベルから来年1月にCD(初音源化)が発売されるのです。
このレーベル、最近60~70年代のサントラを精力的に発売しているなと思っていたら遂にこんなものまで・・・・。
今回限定発売されるCDは初回100枚には、なんとダナ・カプロフ本人のサインがついているそうな。
てことは、裏を返せば本人からマスターを提供してもらってCD化したということか。
そうすると、カプロフの大傑作(と自分では勝手に思っている)「最前線物語」も念願のCD化となる可能性もあるのでは・・・・・。
淡い期待を抱きつつ、「最前線物語」がメディア化された時のために、本作は買わずにおこうと思います。
でも、「最前線物語」をなんとなく思い起こさせるような劇伴もあるので、
このスコアも美味しいといえば美味しいかなあ。
限定1000枚、懐かしのB級SFがお好きな方は昔を懐かしむアイテムとしてはまずまずの品物ですので、
二度と再発されることもないだろうし、この機会にどうぞ。


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