狭い国土“克服” パソナ、キユーピーが「植物工場」で生産性アップ | 日々の出来事

狭い国土“克服” パソナ、キユーピーが「植物工場」で生産性アップ

狭い国土“克服” パソナ、キユーピーが「植物工場」で生産性アップ
東京・大手町のオフィスビルの地下2階、都市銀行の金庫室だった約1000平方メートルのスペースで、サラダ菜やトマト、稲が育っている。蛍光灯や発光ダイオード(LED)の照明が太陽の代わりだ。スタッフのリーダーである細田健三郎さんが、茎や葉の状況をみながらエアコンを操作し、室温、湿度などを細かく調整する。人材派遣大手のパソナグループが、農業支援のデモンストレーションとしてつくった植物工場「パソナO2」の光景だ。≪人工的な栽培管理≫植物工場は、人工的な光や温湿度管理を徹底し、完全無農薬の野菜などを育てる。季節に関係なく野菜を供給でき、生産性も高い。何よりも、日本の国土面積の狭さという低自給率の構造的な欠陥を克服できる。20年以上前に参入したキユーピーは植物工場の先駆的な存在で、現在、全国に約30ある植物工場の3分の1以上はキユーピーがプラントとして農業法人などに販売したものだ。福島県白河市にある同社直営の「TSファーム白河」は、レタスを植えたパレットを斜めに立てかけるようにして、作付面積を約2倍に広げている。一般の農地だとレタスの収穫は年3回程度だが、植物工場は年間11回収穫でき、同じ面積ならば生産性は8倍だ。面積当たりの生産性もさることながら、「無農薬で、サンドイッチ用などにも洗わないでそのまま使える」(広報室の竹内綾子さん)メリットがある。電気代などのコストがかかり、出荷価格は一般のレタスの2~3割増しだが、付加価値が評価され、採算は確保できているという。≪放棄地解消が先≫政府も食料自給率向上の一手として、植物工場に着目している。土地を使わずに、安全な国産野菜を安定供給できる技術だからだ。農林水産省と経済産業省は今月半ば、共同で研究会を立ち上げ、全国で立地促進に動き出した。ただ、キユーピーをはじめ、植物工場を手掛けるカゴメやJFEスチールも、全国規模での事業拡大の動きはない。農業従事者の派遣事業を軌道に乗せたいパソナも、植物工場よりも、「耕作放棄地を有効な農地に再生させることの方が雇用創出につながり、自給率向上にも貢献できる」(農業プロジェクトチームの板見さやかさん)と話す。産業界では、耕作放棄地を含め、農業生産性向上への取り組みが活発になっている。富士通は宮崎県の農業法人の農場を使い、温度や湿度、土壌成分などを感知するセンサーを張り巡らせて、ベテランの農業者がどのように農作業をするかデータベース化する作業を進めている。農業のノウハウを共有化し、生産効率を上げるのが狙いで、データベースが構築されれば、発芽してからの累計の日照時間を計算し、パソコンで肥料散布のタイミングなどをアドバイスできるようになる。天候や土壌、作物の生育状況など外部環境に左右される農業は、ベテランの微妙な“さじ加減”が必要で、マニュアル化は難しかった。このプロジェクトを担当課長として手掛ける富士通の山崎富弘さんは「ベテランの勘を取り込めば、初心者でも大きな苦労なく、良好な土壌も作れる」。例えば、農業の新規参入者でも、ベテランのノウハウをすぐに利用できるようになると期待する。≪収穫量40%向上≫「もしかすると、とんでもないことを発見したのか」岡山県生物科学総合研究所の小川健一副所長は、研究成果を確認した時、身体が震えたのを覚えている。「農業技術を大きく変化させる可能性がある」と確信したからだ。医薬品やサプリメントに使われる抗酸化物質「グルタチオン」を肥料のように使うという前例のない手法で、スイートコーンで40~50%、大豆で40%収穫量を増やした。このメカニズムを解析すると、肥料のように植物に栄養を与えるのではなく、グルタチオンが、植物が養分をつくる光合成の効率を向上させていることが分かった。小川副所長が発見した技術の特許権は、岡山県などが保有する。「特許収入が発生すれば、神奈川県出身の僕が岡山に貢献することになる」とジョークを交えるが、2~3年後にはこの効果を使った農作物が市場に出る予定だ。「自給率向上に向けた日本独自の武器になる技術」(小川副所長)として注目が高まっている。(食糧問題取材班)
[引用元:Yahoo[経済総合(産経新聞)]] 痔 かゆい きれ 痔 痔 座布団 痔 出血