朝日新聞『吉野ケ里フィーバー』記事顛末記蛇足 | 古代文化研究所

古代文化研究所

古代文化には、多くの疑問や問題が存在する。そういうものを日向国から検証していきたい。

○先日、ブログ『吉野ケ里フィーバー 幕開け』を書き、朝日新聞『吉野ケ里フィーバー』記事を難じた。それでも、十分ではない気がして、ブログ『朝日新聞『吉野ケ里フィーバー 幕開け』記事を読んで』を書いた。

○ただ、吉野ケ里遺跡が邪馬台国であり得ないことを説明しないことには、納得していただけないと思い、併せて、ブログ『朝日新聞『吉野ケ里フィーバー』記事顛末記』を書いた。これで十分だと言う気がするが、邪馬台国の風景だとか、邪馬台国三山を案内しても、「万葉集」に詳しく無い方には、理解できないのではないか。そんな気がした。

○それでここでは、蛇足ながら、邪馬台国三山のことを、もう少し、詳しく、述べておきたい。奈良県橿原市に大和三山が存在する。次の山々がそれになる。

  ・畝傍山(199.2m)

  ・香具山(152.4m)

  ・耳成山(139.7m)

○その大和三山を最も記録しているのが「万葉集」であることを認識出来ている人は少ないのではないか。私見によれば、「万葉集」には香具山が十四回、畝傍山が六回、耳成山が三回記録されている。そのことについては、次のブログに詳しく書いている。

  ・テーマ「大和三山」:ブログ『万葉集が記録する大和三山』

  万葉集が記録する大和三山 | 古代文化研究所 (ameblo.jp)

○「万葉集」を研究している者であれば、「万葉集」が記録する大和三山の記事に、多くの問題点があることを、誰でも認識している。そして、それは誰にも説明できないものである。それで、多くの万葉学者先生は、悪戦苦闘なさって、途方もない珍説や奇説を発明している。

○それがどんなものかは、読んでいただくしかない。参考までに、当古代文化研究所が確認しているものは、次のような書物である。

  ・「万葉集講義」山田孝雄:昭和三年初版:宝文館出版
  ・「万葉集新解」武田祐吉:昭和五年初版:山海堂出版部
  ・「万葉集全釈」鴻巣盛廣:昭和十年初版:廣文堂書店
  ・「万葉集注釈」沢瀉久孝:昭和三十二年初版:中央公論社
  ・「万葉集私注」土屋文明:昭和五十一年初版:筑摩書房
  ・「万葉集釋注」伊藤博:一九九五年(平成七年)初版:集英社

○しかし、いくら万葉学者先生が悪戦苦闘なさったところで、奈良県橿原市の大和三山で、「万葉集」が記録する大和三山歌を説明することはできない。何故なら、「万葉集」が記録する大和三山歌が歌っているのは、邪馬台国三山だからである。

○「万葉集」が記録する大和三山歌には、そういう古い時代の記録が混在している。それらの和歌が詠じているのは、大和三山では無くて、邪馬台国三山なのである。そう考えると、「万葉集」が記録する大和三山歌がよく理解される。

○当古代文化研究所では、そのことを確認するために、これまで、8回、奈良県橿原市を訪れ、実際に大和三山に登っている。

  第1回  1992年3月28日
  第2回  2003年8月11日
  第3回  2005年5月10日
  第4回  2009年3月29日
  第5回  2010年4月3日

  第6回  2011年5月3日

  第7回  2021年2月3日

  第8回  2022年12月19日

○つまり、当古代文化研究所が大和三山が邪馬台国三山のレプリカであることを最初に確認したのは、1992年3月28日のことだった。もう三十年以上も昔のことである。

○結果、本物の大和三山は、次のように案内される。

  ・うねびやま=霧島山(1700m)
  ・かぐやま=桜島山(1111m)
  ・みみなしやま=開聞岳(924m)

ただ、大和三山が二つもあっては、何とも紛らわしい。それで、当古代文化研究所では、本物の大和三山の方を、敢えて、邪馬台国三山と命名することとした。もちろん、そこが邪馬台国だからである。

○本当は、「万葉集」は、このように読むものなのである。必ずしも「万葉集」が正しいわけではない。そういう文献批判の無い読書は虚しい。それに、できれば、現地を訪れ、実物に触れてみることである。なかなか人間の空想は逞しくて、信用おけない。

○そういうものの一つに、枕詞がある。たとえば、枕詞「天降り付く」と言うのがある。枕詞「天降り付く」が掛かるのは、香具山と決まっている。だとすれば、枕詞「天降り付く」が解明できれば、本物の香具山が何処であるかが判る。

○当古代文化研究所の専門は、もともと歌学で、そういうことを研究している。枕詞「天降り付く」について、大野晋の岩波古語辞典には、次のように説明している。
      天降りつく
   [枕詞]香具山が天から降下したという伝説によって、「香具山」にかかる。
  「天降りつく天の香具山霞立つ春に至れば」(万葉二五七)

○日本古典文学大系本「万葉集」などを見ても、この説明を出るものはない。ところが、日向国では、枕詞「天降り付く」がきれいに説明できる風景がある。それが『天降付く天の香具山の風景』である。

○当古代文化研究所がこの風景を最初に見たのは、2012年12月4日のことで、そのことについては、翌12月5日に、次のブログに書いている。

  ・テーマ「竹島・硫黄島・黒島」:ブログ『枕詞「天降り付く」の真実』

  枕詞「天降り付く」の真実 | 古代文化研究所 (ameblo.jp)

○その後も、毎年、『天降付く天の香具山の風景』は見て来ている。今年2023年も、12月12日に、鹿児島県霧島市中の茶屋公園で見て来た。

  ・テーマ「日向国の万葉学」:ブログ『天降り付く天の香具山の風景』

  天降り付く天の香具山の風景 | 古代文化研究所 (ameblo.jp)

○つまり、本物の香具山が日向国に存在することは、間違いない。そのことを枕詞「天降り付く」が証明してくれる。何とも枕詞「天降り付く」は有り難い。真面目に「万葉集」を読むと、そういうことが判る。