高岡健氏に聞く・この子とどうかかわる? ① 
 
 
 『この子と、どうかかわる? ~子育て・進路で立ち止まる時』というテーマで、高岡健氏による公開講座が行われました。(11月10日・土曜日。OKBふれあい会館にて。高岡氏は岐阜県立希望が丘こども医療福祉センター・児童精神科部長)その報告です。質疑の時間が多めにあり、いくつもの質問があり、高岡氏からの解答がありました。編集子(鮮)の都合で順不同にて掲載します。
 
片付けできない子への言葉かけをどうしたら?
 
Aさん(施設職員):自閉スペクトラム症の高校生の子たちと過ごしている。プライベートゾーンの居室は2人~4人分のベッドと机がある。とにかく、日常生活のなかで子どもらが片付けができない。どう言葉かけをしたらよいか?
 
〔※ここで高岡氏からAさんに施設の居室を確認。居室は、2~4人の机とベッド。机は、自分持ちの子もあれば、借りている子もある。〕
 
高岡:物の工夫をする方が良い。「片付けをする」トレーニングをするようなことよりも良い。例えば、机やベッドなど壁向きに配置する。パーテーション(間仕切り)をするなどして、自分のテリトリーをはっきりさせる。こういう物理的環境を整えることで考える。そうすると、テリトリーを侵略したとき、(片付ける)根拠がわかりやすくなる。
 
高岡:「物」のなかでも、「百円均一店」などで買った物とそうでない物とは違ってくる。すべて片付けなければならないとするのでなく、ポイントを持って見ていく。そして、守ってくれたなら、そのときは褒めすぎるくらい褒めても良い。
 
Aさん:いま、おっしゃられたことは『空間の構造化』のことだと思うんですが、まったく片付けを守る気がないというか、物を失くさないことを教えていきたい。
 
高岡:物を失くして本人が困っているかどうかを規準に考えていく。ポイントになる物は、専用の置き場所をつくる、というように考える。
 
Aさん:パーテーションのことまで考えていなかったです。ありがとうございました。
 
本人が困っているかどうかを規準に考える
 
しずか:高岡先生が答えられたことは、とても具体的で現実的だったね。
 
のび太:「トレーニング」というようなバーチャルなものよりも、「いま・ここ」に本人が向き合っていけるように考えていく。それは、環境調整だということ。それから、片付ける・物を失くさないことには軽重があって、まず本人自身が片付けないと困る「重」に添っていくということかなと思った。