残る力
ものが世に残るのは大変なエネルギーです。
社会風潮を越え、戦乱を越え、自然災害を越え、人為的ミスを越え、その他にも発生するあらゆる可能性を乗り越えて、後の世に残ることは奇跡に近い出来事です。
板谷波山作銘「命乞い」
当初は作者の手で割られる事に成っていました。
それは余りに忍びないと想った波山先生の奥様が出光佐三氏にお話しました。
出光氏は「これは割ってはいけません。」と強く進言し、波山先生は「それならあなたにあげましょう。」と渡され今日まで残っています。
「美しい」と想った奥様、「割ってはいけない」と進言した出光氏、「それ程までに云うのなら‥‥」と納得した波山先生
こうして「銘 命乞い」名椀は世に残りました。
三人の意思を動かしたのは作品の力です。
今、私たちは板谷波山先生、奥様、出光佐三氏が他界した後もこの世にも稀なる美しい名品を目にすることが出来ます。
東京・日比谷「出光美術館」で2024年7月7日まで展示公開されています。