ピンポーンがゴーン | 豊池美術店のブログ

ピンポーンがゴーン

 

清水比庵作品の木版画を制作した大本琢壽さんについて知りたいと想い立ち、その調査を大本氏が住職をされていた有漢に在る臍帯寺(ほそおじ)を訪問しました。

 

「水清き」を造って頂いた芳烈酒造さんから車で約10分程離れた山間に在ります。山門は鐘楼と成っており紐が垂れていました。それを一つ打つと玄関の戸を開いてご住職にお迎えを頂きました。

 

当代住職・大本一学(おおもと・いちがく)さんは大本琢壽(おおもと・たくじゅ)さんのお孫さんに当たります。親しくお話を伺う事が出来て多くの事を知りました。

 

 

  大本琢壽さんを清水比庵先生に紹介したのは岡山市長を務めた橋本富三郎氏であったこと。橋本氏は橋本魚青の号で俳人でもあり倉敷紡績に勤務の後合同新聞(現:山陽新聞)の社長も務めた経験を持つ人物であったこと。

  大本琢壽さんは真言宗のお寺に生まれながら向学心に燃えて東京帝国大学にてドイツ語を学び、後に岡山大学にて教授をされていた事。

  木版画は独学で習得し、版も摺りも自ら行っていた事。

  清水比庵作品を木版化した「窗日」「窗日Ⅰ」「窗日Ⅱ」の発表に際しては、紹介する歌の選定を比庵先生が行い木版化用に自筆でその原稿を琢壽氏に送っていた事。などを拝聴し保存されている木版の版木も見せて頂くことが出来ました。

 

お二人は親しく便りを交わし、篤い信頼関係をベースにで大本琢壽&清水比庵の木版画が創られた事が理解出来ました。

 

京都帝国大学(現:京都大学)法学部出身の清水比庵先生と東京帝国大学(現:東京大学)にてドイツ語を習得された大本琢壽先生が日本文学の和歌の世界で結ばれて新たな芸術世界を創出されました。

 

新しいことを識って、新しい日が訪れたような、さわやかな気分の初夏の一日でした。