<ハンティング・パーティ(Hunting Party・米・2007)> ★★★
Hunting


> 命知らずのレポートで栄光の座にいたサイモン(リ

>チャード・ギア)は、生放送で>”ブチ切れた”中継を

>送り、テレビ局を解雇される。しかし、ドン底からの

>再起を賭けて掴んだのは極悪戦争犯罪人フォック

>スの居所だった。そして、昔の相棒カメラマンのダ

>ック(テレンス・ハワード)、新米TVプロデューサー

>のベン(ジェシー・アイゼンバーグ)を巻き込み、

>大スクープをものにするための危険な旅が始まる。

>しかし、いかれたサイモンの本音は、フォックスを

>生け捕ることだった!!

> この映画の原案は、実在のジャーナリストたちが

>今も逃中の実在の戦争犯罪人、ラドヴァン・カラ

>ジッチを追跡した『ひと夏の体験』。彼らがぶち当

>たったアメリカ政府、CIA、国連の一蓮托生の世

>界的欺瞞とは?アメリカ政府が500万ドルもの

>賞広告を出したカラジッチは、今もなぜ逮捕され

>ないのか?  (招待状記載)


  珍しく日曜日の夜の試写会ですが、この1週間、外出を控えていたので久し振りに公共施設(九段会館)で映画を見て、その上、こういう政治絡みの映画は私の好きなジャンルなので喜び勇んで出かけ、映画はやはり大スクリーンで見るものだと改めて思いました。カラジッチはボスニア戦争中にセルビア人指導者として大量虐殺を指示した罪で国際機関から起訴されましたが現在も逃走中、彼を実際に追跡したアメリカのジャーナリスト達の実話を基にした作品というので大いに期待して行きました。タイトルの意味は”(獲物を追いかける)猟人団”というような意味で、Xマス・パーティなどの”パーティ”ではありません。


 開映前に、劇中音楽だろうと思われる東欧民謡調のメロディが流れ、映画が始まるとすぐに、「この映画は実話に基づいて作られ、物語中、”あり得ない”と思われる部分こそが”真実”である」と思わせぶりの字幕が出るのでますます期待が高まりました。


 そして、ボスニア戦争の市街戦のシーンと取材する2人のジャーナリストの姿から物語が始まります。リチャード・ギアも初老を迎えて、イメージ・チェンジを図ったのでしょう。小泉元首相のようなヘア・スタイルで懸命に走っていましたが、命を賭けて特ダネを追いかけるジャーナリストとしては少々線が細く、野性味も足りないような気がしました。彼がクビになる原因となった”キレた中継”(後半でその原因が説明されますが)というのも描写不足でした。私には、サイモンがカラジッチを追うのは特ダネの為というよりも、妊娠している恋人を彼の一派に殺された私怨のためのように見えてしまいました。むしろ、相棒役のテレンス・ハワードの方が柄に合っていました。


 後半では敵味方入り混じっての攻防も、やはり、リチャード・ギアの線の細さのせいか、それほどサスペンス的な迫力がなく、ただ、原作の筋を追っているだけのように見えました。CIA,米国、国連までも巻き込んだ欺瞞を暴くというドでかいテーマにしては少々突っ込み不足の感がありました。「イラク戦の発端となったアル・カーイダの指導者ビン・ラディンがなぜ捕まらないのか、やはり、裏があり、裏の裏がある」というような意味の字幕が最後に流れますが、そんな大事な告発なのに何か及び腰で説得力が乏しく、逆に製作スタッフがCIAを恐れて遠慮しているのではないかと受取られそうでした。マイケル・ムーアあたりに監督をさせれば、もっと強烈なパンチの効いた作品になったかも知れません。


>紛争の”実態”に、ここまで踏み込んで描いたこと

>に驚きました。      (ジャーナリスト S.T氏)


>国連やCIAなど、世界の欺瞞に立ち向かい、生命

>投げ出し、突っ走る三人のジャーナリストを極上

>のエンタテインメントに仕上げている。

            (ジャーナリスト S.T氏)


>オープニングからラストまで、息をつかせぬ緊張感

>で心臓はドクドク。            (タレント H.E氏)


 会場で貰ったチラシにはこんな賛辞が並んでいましたが、非常に重要な問題提起のある物語であるにもかかわらず、作品としてはそれを充分に表現しきれていないように思えたのは、<ナイロビの蜂>とか<ホテル・ルワンダ>のようなもう少しシリアスなポリティカル・アクションを期待した私の方向が違っていたのでしょうか?決して悪い映画ではないのですが・・・・・・・。一般公開はGW後の5月10日からのようです。