お参りを済ませて、私が、ベンチに腰をおろしていると、霊伝さんと銀二さんが、大窪寺に到着した。彼らは、登りの道をゆっくり歩いたみたいだ。私が、

「先に、お参りしたよ。」と言うと、彼らは、

「僕らも行ってきます。」と言った。彼らもゆっくりとお参りをしていた。

 帰ってきて、銀二さんが、ぼそっと、言った。

「僕は、泣き崩れるぐらいの感動があると思ったんですけど、僕にも歩けたという感動があると思ったんですけど、・・・・。会社のみんなもそう言ったんですけど」と言う。

 霊伝さんは、何度目かのお四国参りだし、私は、・・・私は、当り前のことを知っただけだった。銀二さんが、その間で泣き崩れるのは、相当難しいかも知れない。「もう一回歩け。」と言うと、彼は、

「もう嫌だ。」と言っていた。ところが・・・・・。・・・つづく。