屋島山のふもとの四国道の休憩所に、霊伝さんと銀二さんがいたので、私もそこに行き、休みがてらに、三人で、酸っぱいミカンを食べた。それから、三人で次の札所へ向けて、屋島山への山道を登った。

第八十四番八島寺(本尊・十一面観音・おん ばざら たらま きりく)大師堂(南無大師遍照金剛)をお参りする。

 屋島山を下って、五剣山に向かい、その山道を登って、頂上近くの、

第八十五番八栗寺(本尊・聖観音菩薩・おん あろりきゃ そわか)大師堂(南無大師遍照金剛)をお参りした。このころから雨足が強くなってくる。

 それでも、三人で話し合って、次の札所の近くまで行くことになった。

 遠い、遠い、彼方から、あたたかい自然法則の雨が降る。

 三人が、一列に並んで、黙って歩く。

 雨のことは、誰も口にしないで歩く。

 当り前だと思って歩く。

 夕方には、三人ともずぶ濡れだった。

 銀二さんは、いつものように宿に泊まると言っている。私もそうすることにした。霊伝さんは、どこかで野宿すると言う。しかし、あまりの雨なので、私は、この坊さんをほっておくことが出来なくて、お金の少ないのは分かっていたが、迷って、迷って、あまりの雨なので、私が、霊伝さんの宿代をお接待することにした。結局、三人は同じ宿に泊まることになる。・・・つづく。