札所に着いてみると、境内は、雪が氷点下の中で結晶して、さらさらと柔らかく、二十センチは積っている。

 真っ白だ。生と死を統合して、真っ白だ。永遠の命の大日如来の、白だ。

第六十番横峰寺(本尊・大日如来・おん あびらうんけん ばざらだとばん)大師堂(南無大師遍照金剛)を、お参りした。

 私の読経の声も、息も、真っ白だ。お参りを済ませて、私自身も真っ白だ。白い道が広がる。

 私は、マッサラな雪道に足跡を残しながら歩いて、「星の森」と言うところまで、進んだ。小高い峰の「星の森」に着いてみると、太い杉の木が、立ち並んでいた。その木の間から、私が、前方、遠くを見ると、石鎚山は、頂上に雪を冠り、ふもとの木々の緑色から、頂上に向けて、土の茶色、雪の白色に変わって行くさまだ。そして、石鎚山は、朝の光を真横から受けて、黄金光の袈裟をかけているようだった。

 黄金光の山頂はゴツゴツとしていて、青い空に、光を放つ。

 ボロン。まるでヒマラヤ山脈のようだ。

 ボロン。美しい。

 ボロン。透き通るぞー。

 合掌をして、般若心経をお唱えする。大きな声が出て、石鎚山に吸い込まれて行く。

南無石鎚山金剛蔵王大権現(なむ いしづちさん こんごうぞうおう だいごんげん)(おん ばざら くしゃ あらん じゃ うん)三回。

 厄除けを願う。再合掌。・・・・つづく。