私は、出発してから、ほどなく、

第五十九番国分寺(本尊・薬師如来・おん ころころ せんだり まとうぎ そわか)大師堂(南無大師遍照金剛)をお参りする。納経所では、観光会社のコンダクターが、大量の御朱印を受けていた。私は、ずいぶん待たされた。彼らは「先に、どうぞ。」と、言ってくれたのに、私は「いいです。」なんて言うんだもん。トホホ。

 頭の中は、昨日の男性の身の上話でグシャグシャだ。ヤレヤレ。なんだか気が重い。ヘンな厄を受けちゃったかな。

 私は、寺を出発して、ふらふら、ふらふら、とろとろ、とろとろ、歩く。「この調子だと、いつ着くか分からないなぁ。ハハハッ。」、次の札所までは三十キロ強はある。にやけながら、家の建ち並ぶ県道を歩いていた。

 大頭と言うあたりの農村まで来ると、「横峰寺まであと八キロ」の看板がある。

 少し歩いて、テントを張ることにした。山の方は、白い雪景色だ。今夜はここにも雪がちらつくだろう。

 どう言う訳か、何かがあって、気持ちが乱れていると、寒い行が待っているみたいだ。人間の体を死ぬまで冷やせば、無意識の中で整理がつくような気もするけど、なんで俺が、あの若者の為に、凍死いなければいけないの?。参ったなぁ。・・・明日目が覚めるかなぁ。

 そう言えば、昨日の人生相談の男性は、彼女がいて、お互いに少し霊感があるので、今は離れて暮らしていると言っていたなぁ。

 あの~、俺は、彼女、いないし、金、ないし、明日もないし、それで、凍死?。おかしいでしょ。あはは。参ったなぁ。・・・・いいよ、俺の業じゃないから、寝よ。

 結ぼれる 乱感情か 雪散下         ・・・つづく。