夕方になって、風が出てきた。私は、安全を考えて、大きな神社の隅の方に、テントを張らせてもらおうと思い、管理者に許可を受けに行った。すると、なぜか、その管理者に断られてしまった。仕方がないので、私は足の向くまま、神社の裏手の方に歩いて行く。細い道の両側に雑木があって、そこを進んで行くと、視界が開けて、運動公園があった。 

 見渡すと、低い丘の上に、小さな神社が、夕暮れの景色の中、ぽっかりと見えている。神秘的だ。私を誘っているようだ。

 私が、神社に行って見ると、建物は、吹きっさらしの窓のない造りで、胸の高さぐらいまでの木の壁で囲まれていた。私は、その中にテントを張ることにした。

 テントを張り終えたころには、もう暗くなっていた。そして、雪おろしの風が、ビュービューと吹き始める。それは、もう、外で立っているのがいやになるくらいだ。「風当たりが強すぎるよー。」おまけに寒波なもんだから、寒いこと、寒いこと。

 手に息を吹きかけながら、私はテントの中の寝袋に入った。と、あれー、なんだか幸せな感じが湧いてくる。不思議だ。・・・つづく。