第二十六番金剛頂寺(本尊・薬師如来・おん ころころ せんだり まとうぎ そわか)大師堂(南無大師遍照金剛)をお参りする。 

 台風が、近付いていると聞いて、『洗濯物もあるし、風呂にも入りたいし、』金剛頂寺さんの宿坊に泊めてもらう事にする。従業員の若い女性に案内されて、私が部屋に入ってみると、もう、外は風が吹き始めていた。お金のことは考えないようにして、「安全第一」と自分に言い聞かせていた。

 食事の時間が来て、食堂の方へ行ってみると、土佐の鰹の刺身や天ぷらなどの豪華な食事が待っていた。私が、久々の栄養を喜んで食べていると、斜め後ろから、ほろ酔い加減の大きな声の話が聞こえてくる。彼らは、マイクロバスのツアーでお遍路をしている人たちだろう。私が、聞くとはなしに彼らの話を聞いていると、新聞を見ても、身の回りを見ても、政治を見ても、「何も知らずに、真面目に生きている奴が、シアワセナ馬鹿をみるんだ。なんとなくでも、たちまわって儲けた奴が、得なんだ。」と言っているようだった。ただ、私は、そういっている彼が、儲けている側かどうかは、疑問だなと思う。なぜって、いま、曲がりなりにも苦しんでいるし、お遍路信仰をしている訳だし、・・・その場面が、酔って話して、見つけられない価値観転化の憂さ晴らし、的に感じるからだ。

 やがて、二人の老人が最後まで残って話し込んでいた。・・・・つづく。