つまり、管長については、彼より私の方が、よく知っているのだ。特に裏の事まで・・・。
しかし、この状況は、たぶんこういう事なんだろうと思う。老僧が、若い坊さんに、恰好のいい説法をして、それをテレビカメラに収め、「はい、OK。」絵になったと言う事なのだろう。・・・という事は、ギャラはあの千五百円か。「お笑いの吉本興業よりも高いかも。ハハッ。」などと、考えていたら、老僧が、
「 大先輩として、一言、辛口の批評をする。」と、前置きをして、
「自分の甘さに気づけ。」と、姿勢をシャンとして、言い放った。彼には私の心の動きが見えてる。
それから、彼は、自伝付きのお四国参りの本を、私にくれた。
テレビカメラは、無断でそれを撮り続けている。私は、相手の都合だけで、いい見世物にされてしまったと思ったので、大きなストレスを貯めた。しかし、私が、この状況を耐えているのは、托鉢という名目で、意味なく物金欲しいからなのか?。そんなはずはない。じゃぁ、持ちつ持たれつで、お互いに役に立てばいいじゃないか、という事か?。そりゃー、彼とテレビスタッフはおいしいかもしれないが、私は、なに。大して悪くもなくて、ジタバタする元気もない心の状態なのに、テレビで勝手なことを言われて、全国放送されても困るでしょう。それとも老僧は、私以上に、義の力があるわけ?。多少の力があるのは認めますけど。なんか、大型バイクの件を抜きにしても、どこまで信用できるのか分からない。私は、敗者のあきらめにも似た気持ちを引きずっていた。・・・つづく。