疲れた体には、結構な坂道だったが、十番札所に着いた。
第十番得度山切幡寺(本尊・千手観音・おん ばざら たらま きりく)大師堂(南無大師遍照金剛)を、お参りする。
切幡寺を出て、道が分からなくなったので、ペリカン便の運転さんに、尋ねたところ、彼は、「車に乗ったらいけないのかなぁ。」と聞いてくれて、私が「いえ、別にそういう訳では。」と答えると、彼は、荷物を丁寧に積んでくれて、私を助手席に乗せて、都合のいいところまで、案内してくれた。車の中では、なぜか、親切をかたくなに断るのも不自然だし、ふれあいを良しとしたらいいと、あれこれと自分に言い聞かせていた。ちっとも無邪気でいられない。後で分かった事だが、昔ながらの遍路道は、細い板の橋が大きな川にかかっているところを、歩くようになっていた。そこは、景色がとてもいいらしい。出てくる思いにも、いろいろ意味がある。
それから、しばらく歩いて、店で食事をし、川沿いの公園でテントを張った。そこにいた人と話をすると、近くに風呂屋があると言うので、三日ぶりに風呂に入った。下着を公園で洗った。一日中御真言を唱えた。・・・つづく。