【悲報】三谷幸喜、松本人志路線へ。映画「ギャラクシー街道」 | 忍之閻魔帳

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▼【悲報】三谷幸喜、松本人志路線へ。映画「ギャラクシー街道」

当ブログ開設後に公開された作品はほぼ全て紹介してきた
三谷幸喜監督の最新作が今週末より公開。
「清須会議」で初めて時代劇(映画)に挑んだ三谷監督が
今作では初めてSFを手掛ける。
人通りもまばらになってしまったスペース幹線道路、
通称“ギャラクシー街道”でひっそりと営業を続ける
ハンバーガーショップでの出来事を描いたスペースコメディ。
出演は香取慎吾、綾瀬はるか、小栗旬、優香、西川貴教、遠藤憲一、段田安則、
石丸幹二、秋元才加、阿南健治、梶原善、田村梨果(ミラクルひかる)、
浅野和之、山本耕史、大竹しのぶ、西田敏行。




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う、嘘だよな、嘘だと言ってくれよ幸喜。
お前がこんな、こんな映画を撮っちまうなんて俺はまだ信じちゃいないぜ。

エンドロールが開始されてもまだ何かあるのだと信じ続けた109分。
私の望みは叶えられることは無かった。
毎週楽しみに見ていた「やっぱり猫が好き」で初めて名前を知ったのが1989年。
確か「悲しき御高祖頭巾」が初登板でなかったか。
それから26年の長きに渡り、私はずっと三谷幸喜のファンだと公言してきた。
舞台もドラマも映画も、見れる限りは見て来た。
「THE 有頂天ホテル」をピークに、ここ数年はずっと下り坂だったことも
気付いてはいたが、致命傷と言えるほどの深い傷はなかった。
そう思うこと自体がファンの欲目であることも自覚した上で
まだ「三谷幸喜は終わった」と言いたくなかったのである。
しかし、ついに今日、私は書かなければならない。

「ギャラクシー街道」は、三谷幸喜の全作品の中でもずば抜けてつまらなかった。

客足の遠のいたハンバーガーショップ以上に、
店内での掛け合いが滑りまくっていて寒いことこの上ない。
一体何が三谷幸喜をここまで劣化させてしまったのだろう。
小林聡美がよほどのあげまんだった、ぐらいしか理由が思いつかない。

三谷幸喜が方向転換せざるを得なかった理由は、
ここ最近の作品を発表順に振り返れば合点がいく。



主役級の俳優を次々にカメオ出演させたり、
過去の三谷作品に登場したキャラクターがそのままの設定で再登場したりと
サービス精神も満点のはずなのに、何故か今回は心が満たされなかった。
「満腹にはなったが、満足には至らなかった」のである。

【紹介記事】満腹なれど満足には至らず。映画「ザ・マジックアワー」より




速射砲のように繰り出される小ネタの数は過去最高峰だが、
制限時間内にどれだけネタを詰め込めるかという
「M-1」スタイルの脚本に力を注ぎ過ぎて、裁判の焦点となっている
「幽霊の証言を認めるか否か」というポイントから脱線してしまった。

【紹介記事】詰め込めるだけ詰め込んだM-1スタイル。映画「ステキな金縛り」より




これ以上ない豪華キャストを揃えた完熟の作品とも言えるのだが、
残念ながら映画の核となる部分が弱い。「ザ・マジックアワー」の夕焼けや
「THE・有頂天ホテル」の年越しシーンに匹敵するような名シーンが無い。

【紹介記事】完熟の三谷喜劇なれど物足りなさも。映画「清須会議」より




豪華キャストの競演は「有頂天ホテル」でピークに達し、
物語を展開させる舞台の巨大化は「マジックアワー」で頭打ち、
主題を脇道に追いやるほどの小ネタ連打は「ステキな金縛り」でやりきった。
決して涸れることはないと思っていたアイディアの泉もついにネタが尽きたか。


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【紹介記事】観客の好意に甘えたヌルい映画。「大日本人」
【紹介記事】言い訳と居直りに終始した映画「R100」は松本人志の最後の悪あがきか

「面白い」を追及し過ぎて、一般人の求める「面白い」を
忘れてしまったかのようなノリは
「大日本人」や「R100」の松本人志作品に通じ、
単につまらないだけでなく腹立たしさすら感じる。

昔の三谷幸喜は、「やっぱり猫が好き」や「12人の優しい日本人」や
「笑の大学」のように、特別な設定や見てくれを用意しなくとも、
平凡な人間同士の何でもないやり取りからおかしみを生み出す天才だった。
三姉妹が深夜に焼肉を食ったりしているだけで大笑いできたのである。

それが本作ではどうだ。
かつて三谷自身が否定していたはずの、
見た目の奇抜だけで笑いを取ろうとするふざけた衣装や白塗りメイク。
遅々として進まない本編に、ダラダラ長いだけで得るもののない
店長と元カノのエピソード、らしからぬ下ネタの多さ(しかもつまらない)。
数え上げればキリがないほど脚本がグダグダでスピード感がない。
滑りまくるシーンの隙間でキラリと光る小栗旬は唯一のオアシスと言っていいが
ソックスの変身後のシーン(約3分)で残りの106分を帳消しにできるはずもない。

本作の戦犯は、主人公でありながら全く魅力的でないノア(香取慎吾)。
意地が悪く、ワガママで、短気で、陰気。なんだこのキャラは。
口は悪いがいい奴、ワガママだが妻を愛している、短気だが親切なところもある。
そういった「○○だけど××」の「××」の部分が全く見えてこない芝居のせいで
ノアが全登場人物中で一番のトラブルメーカーになってしまい、
サイドキャラクターを圧し潰し、全体が地盤沈下を起こしている。
芝居の上手さを活かせなかった浅野和之、大竹しのぶ、西田敏行に、
西川貴教も想像通りのオチで意外性はゼロ。
本当にどうしてしまったのだろう。
ここまでつまらないと逆に心配になってくるレベルである。
先週から放送している「スター千一夜」のほうがよっぽど面白い。
三谷幸喜は、もう本業ではなく脇道で笑いを取るようになってしまったのか。
そんな辺りもまた松本人志っぽい。

三谷幸喜のファンだから今作も観ると決めている方は止めないが
ここ数年は精彩を欠いてきたなあと感じていた方なら素直に避けるが吉。
逆に「大日本人」や「R100」で大笑いしたという方なら
もしかしてツボにはまってしまうかも。

映画「ギャラクシー街道」は10月24日より公開。




*以下は余談(ネタバレ無し)

この映画における香取慎吾は、かつて三谷幸喜と共に
東京サンシャインボーイズで活躍していた伊藤俊人を思い起こさせる。
伊藤は2002年に40歳の若さで亡くなってしまったが
三谷は追悼コメントで「伊藤を主演にした作品の構想もあった」と語っていた。
「ショムニ」の野々村人事課長を始め
伊藤はどんなに嫌味なキャラクターを割り振られても、
そのどこかに可愛気を残す芝居が出来る人だった。
本作のノアは脱サラしてハンバーガーショップを始めた男であり
香取が演じ切れなかった「○○だけど××」の「××」の部分を
伊藤ならば完璧に演じられたのではないかと改めて思う。
ノアの髪型と黒ぶちのメガネは、まさに伊藤のトレードマークだった。
と、こんなことをつらつら書くのは三谷歴の長い私のようなファンぐらいだろう。

*余談その2(ネタバレ有)

ラストに少しだけ登場する佐藤浩市は、「ザ・マジックアワー」
「ステキな金縛り」に続き村田大樹役でカメオ出演している。
「マジックアワー」の村田大樹は何年も芽の出ない脇役俳優であり、
現代に生きている人物という設定なので、
考えようによってはこの「ギャラクシー街道」はSF映画ではなく
『SFを謳ったB級映画、または舞台』と読むこともできる。
意図的に安っぽくつまらなくして、そんな作品ですら
村田大樹にはこの程度の出番しか用意されない、と。
だとすれば衣装デザインやセットのチープさも狙ったもので、
この映画の真の主役は村田大樹だということになるが
そこまで好意的に深読みしてくれるのも三谷歴の長い私のようなファンぐらいだろう。




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【紹介記事】完熟の三谷喜劇なれど物足りなさも。映画「清須会議」

歴史マニアとしても有名な三谷幸喜が歴史モノで初監督を務めたのが「清須会議」。
織田信長の亡き後、強大な権力の座を狙って様々な思惑が動く様を
三谷氏らしいコミカルな演出を交えて描いたコメディ。
出演は役所広司、大泉洋、小日向文世、佐藤浩市、鈴木京香、中谷美紀、
妻夫木聡、浅野忠信、寺島進、でんでん、天海祐希など。
「ステキな金縛り」で大活躍した落ち武者・更級六兵衛もこっそり出演。
何かと叩かれる剛力彩芽も、意外や意外あるシーンで強烈な印象を残す。

ワンシチュエーションものの枠からはみ出した前作「ステキな金縛り」に比べ
城内に舞台を固定した本作は、三谷氏らしさを取り戻しつつ
これ以上ない豪華キャストを揃えた完熟の作品とも言えるのだが、
残念ながら映画の核となる部分が弱い。「ザ・マジックアワー」の夕焼けや
「THE・有頂天ホテル」の年越しシーンに匹敵するような名シーンが無いのだ。




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【紹介記事】詰め込めるだけ詰め込んだM-1スタイル。映画「ステキな金縛り」

冤罪で逮捕されてしまった男の唯一のアリバイ証言
「事件発生当時に金縛りにあって動けなかった」を立証するため、
男に取り憑いていた落ち武者の霊を証人台に立たせる法廷コメディ。

小さな小さなアイディアの種に大小さまざまな装飾品をつけて
1本の巨大なツリーにしてしまう、三谷マジックとも言える脚本は健在。
ワンシチュエーションで物語を展開させてきた三谷作品の約束を打ち破り、
今作ではついに弁護士事務所、山奥の怪しい旅館、法廷、面会ルーム、レストランと
次々に場面転換をし、その都度ショートショートを重ねてゆくスタイルへと変化した。
速射砲のように繰り出される小ネタの数は過去最高峰だが、
制限時間内にどれだけネタを詰め込めるかという
「M-1」スタイルの脚本に力を注ぎ過ぎて、裁判の焦点となっている
「幽霊の証言を認めるか否か」というポイントからやや脱線してしまったような気も。

深津絵里に関しては、映画の主人公であると同時に
彼女が三谷幸喜の中での現在のマドンナなのかという匂いもチラホラ。
ここ数作の深津絵里は、故・伊丹十三監督作品における宮本信子のよう。

最後にちょっとした小ネタを。
篠原涼子は役名こそ付いていないが「THE 有頂天ホテル」のコールガールと瓜二つ。
相変わらず男相手に元気に働いているようだ。
佐藤浩市は、「ザ・マジックアワー」と同じ村田大樹役として出演。
こちらも懲りずに売れない役者を続けているようで。
作り終えた作品をそこで終わらせず、次の作品で後日談を語る。
これも三谷作品ならではの楽しさと言えよう。




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【紹介記事】満腹なれど満足には至らず。映画「ザ・マジックアワー」

ラジオの放送室(ラヂオの時間)→新築の一軒家(みんなの家)
→高級ホテル(THE・有頂天ホテル)と、作品を重ねるごとに
舞台が大きくなっている三谷作品が、ついに街ひとつを丸ごと作り上げた。
寺島進や伊吹吾郎など、三谷マジックで新たな魅力を開花させた俳優も多い。
中でも佐藤浩市は、これまで積み上げて来たステータスをフイにしてしまうのではと
こちらが心配になるほどのイメチェンぶり。

三谷監督お得意の展開で、安心して観ていられる作品ではあるのだが、
登場人物ひとりひとりに人生があった「ラヂオの時間」や「みんなの家」に比べると
明らかに「賑やかし」「彩り」として配置された登場人物が増えた。
本作で言えば、綾瀬はるかや戸田恵子や寺島進あたりは
もっと掘り下げても良かったと思う。

主役級の俳優を次々にカメオ出演させたり、
過去の三谷作品に登場したキャラクターがそのままの設定で再登場したりと
サービス精神も満点のはずなのに、何故か今回は心が満たされなかった。
偉大なる初代クロスレビュワー、水野店長の言葉を借りるならば
「満腹にはなったが、満足には至らなかった」のである。




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大晦日の夜10時、あと2時間で年が明けるという慌ただしさの中、
ホテル・アバンティに集う人達を描いた群像コメディの傑作。
現実の2時間がそのまま映画の中の2時間になっているため、
観客は否応無しに劇中に引きずり込まれ、
いつしかアバンティに居る客の一人のような気にさせられてしまう。

舞台女優らしさを発揮した松たか子、
狂言回しとして八面六臂の活躍をする篠原涼子
FAIRCHILD時代から13年ぶりに歌声を披露したYOU、
ほとんど「出オチ」状態の伊東四朗と西田敏行、
私的にはこの5人が頭ひとつ出て良かったが、
きっと観た人の数だけ意見が異なることと思う。

冒頭に登場する若い夫婦に見覚えは無いか、
館内ナレーションやダブダブの声に聞き覚えはないか、
三谷作品を観た方ならニヤニヤ出来る小ネタもしっかり盛り込んであるので、
2回目以降は重箱の隅を突くような楽しみ方もいいかも知れない。