忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)


テーマ:
三度目の殺人


▼信じたい真実、動かざる真実。映画「三度目の殺人」


09月06日発売■Book:「三度目の殺人 / 是枝裕和」
09月06日発売■Book:「文藝別冊 是枝裕和」

私が最も敬愛する日本の映画監督・是枝裕和の最新作が今週末より公開。
「海街Diary」「海よりもまだ深く」と、
このところ撮り続けてきたホームドラマから大きく路線を変えた法廷ドラマで、
殺人を犯した男の真実をノワール調の映像を使って映し出した意欲作。
主演は「そして父になる」でタッグを組んだ福山雅治。
共演は役所広司、広瀬すず、斉藤由貴、市川実日子、満島真之介、橋爪功、吉田鋼太郎。
音楽は日本でもヒットした「最強のふたり」のルドヴィコ・エイナウディ。
美術には「キル・ビル」から「清須会議」「思い出のマーニー」まで
世界もジャンルも飛び越えて活躍する種田陽平。



裁判員制度が導入されてから8年。
もし私の元に通知が来たら、その重責を全う出来るだろうかと考えることがある。
検察側と弁護側から提示された資料を吟味し
法廷のやり取りを見た上でジャッジを下すことは素人には難しい。
判断を誤れば多くの人を傷つけてしまうからだ。


発売中■DVD:「それでもボクはやってない スペシャル・エディション」
発売中■DVD:「休暇」

海外では法廷モノの傑作はいくつもあるが
邦画で裁判を題材にすると、どうしてもエンターテイメントになってしまう。
「HERO」しかり、「ステキな金縛り」しかり「リーガル・ハイ」しかり、
明快な正解(真実)に辿り着き、ハッピーエンドに着地しなければ
多くの観客(視聴者)が納得しないのだろう。

まだ健闘したのは周防正行の「それでもボクはやってない」だが、
痴漢冤罪を軸にした体制批判・システム批判という側面が強く
政治をエンタメ化するマイケル・ムーアに通じるものがあった。
再ブレイク前の西島秀俊と小林薫の共演による「休暇」は
死刑執行を待つ受刑者と、再婚を間近に控えた拘置所の刑務官との物語だが
法廷モノではないのでここで挙げた他の作品とは少し毛色が異なる。

是枝監督が挑んだ「三度目の殺人」は、観た人それぞれに委ねられる部分が大きく
結末もはっきりしていないため、モヤモヤの残る人も多いと思う。
しかし三隅高司(役所広司)の真の犯行動機がどこにあったのか、
弁護士、検察官、裁判官がどう受け止めたのかを思う時、
日本の裁判システムとは「動かざる真実」を見つけ出すものではなく
多数派が納得し得る「信じたい真実」を提示して
取り敢えずの収束を図るものなのではないかと思えてくる。

「裁判に勝つためには真実は必ずしも絶対条件ではない」と豪語し、
戦術重視で勝ってきた敏腕弁護士の重盛(福山雅治)が、
三隅との接見を重ねるうちに彼の奥底に眠っていた深い闇と哀しみを探り当て、
ひとりの人間として愚直に真実を追い求めようとする姿は
実に是枝監督らしい展開で、難役を演じ切った福山の熱演が光る。

・仕事をクビになったので殺った
・社長の妻に頼まれて殺った
・私は殺していない

三隅は何故証言をコロコロと変えたのか。
隠し事を抱く被害者の娘・咲江(広瀬すず)や
同じく隠し事を抱く被害者の妻・美津江(斉藤由貴)は
三隅を凶行に駆り立てた共犯者なのだろうか。
前科者の謗りを受けながら安い賃金でコキ使われ、
孤独な生活でカナリアを可愛がり、
ピーナッツバターをたっぷり塗ったパンが大好きだった三隅が
再び犯行に及んだ本当の理由を、法廷は必要としていない。
日常的に審議を行い、消化試合のようにこなしいるプロ達は
早期決着を望みながら、工場の仕分けのように有罪無罪を振り分けてゆく。
まるで、真実がどうであるかは問わないかのように。


発売中■DVD:「DISTANCE」
発売中■DVD:「誰も知らない」

オウム事件をモチーフに、加害者側家族の視点から描かれた「DISTANCE」。
裁判記録を読んで映画化を思い立ったという「誰も知らない」。
初期の是枝作品は実際に起こった事件に着想を得た
ドキュメンタリータッチの社会派ドラマが多く、
本作も初期作品の雰囲気に良く似ている。
家族ドラマの達人として知られる是枝監督しか知らない方が
「主演・福山雅治」「海街Diaryの是枝監督」と思って観にいくと
痛い目を見るかも知れない。

同じ福山主演の「容疑者Xの献身」に登場する個々の人物像を
さらに深く切り込んだような作品で、日本社会が今抱えている問題を
静かな筆致で映し出す手法は「別離」や「セールスマン」の
アスガー・ファルハディ監督に近い。
是枝監督はもう、日本国内でのヒットは視野に入れていないようにすら思える。


発売中■Blu-ray:「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」

弁護士か記者かの違いはあれど、死刑囚との面会を繰り返すうちに
内なる想いに突き動かされる流れは
「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」を彷彿させる。
死刑執行目前に事件の再捜査を依頼された女性と死刑囚との物語。
冤罪か否か、終盤で明かされる真実も見事だが
ケイト・ウィンスレットとケヴィン・スペイシーの芝居が何より見物。
傑作と呼んでいいがこちらはミステリーであり、結末はちゃんとある。
「三度目の殺人」は、三隅の犯した殺人の真相や
タイトルにある「三度目」の意味も含めて
全てを劇中で明らかにはせず、個々の観客の判断に任せている。
私達ひとりひとりがこの事件を裁く裁判員なのだ。

近年の是枝作品とは異なる非常に挑戦的な作品だが
監督は観客を信じてこの議題を投げかけたように感じる。
役所広司も広瀬すずら出演者の本気の芝居を
全力で受け止める覚悟のある方は是非とも劇場へ。
くれぐれも「泣ける」「感動」といった類いの面白さは期待しないように。

映画「三度目の殺人」は9月9日より公開。

余談。
私がこの映画を海外で公開するなら、「チョコレート・ドーナツ」の逆で
「ピーナッツ・バター」にするな。それぐらい、あのシーンが心に残っている。




10月18日発売■Blu-ray:「いしぶみ」

1969年に広島テレビで放送された「碑」(いしぶみ)を
是枝裕和が監督し、広島市出身の綾瀬はるかでリメイクした朗読劇。
公開から随分経ってもパッケージ化の話が出ないので
諦めかけていたのだが、広島テレビ開局55年記念として
Blu-ray・DVD化が決定した。

綾瀬はるかと言えば、つい先日「この世界の片隅に」のすず役を
最初にオファーされたがホリプロがクラウドファンディングによる制作という
企画に難色を示して断ったとのこと。
結果はのんで大正解だったわけだが、改めてホリプロは馬鹿だな。
綾瀬なら労せずしてネイティブの広島弁ですずを演じられたろうに。



▼3DS「ポケモン 金/銀」「メダロット クラシックス 20th」予約受付中


09月22日発売■3DS:「ポケットモンスター 金 専用ダウンロードカード特別版」
09月22日発売■3DS:「ポケットモンスター 銀 専用ダウンロードカード特別版」
12月21日発売■3DS:「メダロット クラシックス 20th Amazon限定特典付き」
12月21日発売■3DS:「メダロット クラシックス 20th Anniversary Edition」



▼今週発売の新作ダイジェスト


09月06日発売■Blu-ray:「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス MovieNEX」
09月06日発売■PS4:「PlayStation 4 Pro グレイシャー・ホワイト 1TB」
09月06日発売■PS4:「Destiny 2 早期購入特典DLC付き」
09月06日発売■CD:「フクロウの声が聞こえる 限定盤 / 小沢健二」
09月06日発売■Book:「アイスクリームが溶けてしまう前に
(家族のハロウィーンのための連作)小沢健二と日米恐怖学会」

09月07日発売■NSw:「ドラゴンボール ゼノバース2 for Nintendo Switch」
09月09日公開■Ticket:「ダンケルク」




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