「な、何を言っているんだ!わ、わ、私は何も知らない!」

ヨロヨロと何かに怯えるような感じで後ずさっている藤原警視。

「よく聞け!藤原警視!あんたの兄藤原孝司は人殺しだ!ここに当時の捜査資料のデータがある」

松本の手の中にはUSBメモリーが握られていた。

「は、はははそんな物が何になる!第一あの時の兄の年齢は中学だったはずだ!少年法では裁けない年齢なんだよ!」

威嚇するような挑発するような瞳で藤原は松本を睨んでいる。

「そうだな…でもこれをマスコミにリークしたらどうかな?法律で裁けなくても世間がどう受け止めるかで警視の運命は変わるんですよ」

憎悪の眼差しを藤原に向けている松本。藤原は崩れ落ちるように床に座り込み泣きだした。

「くそぅ~やっと、やっと掴んだのに…何でだよ!お前さえ現われなければ!私の人生が狂うことなんてなかったんだ!」

玉城をキッと睨みつけている藤原の胸ぐらを松本は掴むと右手を振りあげようとしたが思い留まった…本当は殴りたかったが押さえた。

「ふざけんな!お前の兄貴がこの雪弥と雪弥の母親の雨音、そして雪弥の父親の和輝の運命を変えちまったことを忘れんな!」

藤原は小刻みに体を震わせその場にへたり込んでいた。それを部下達は冷ややかな目で見つめていたかと思うと何も言わず部屋を出ていく。

「待ってくれ!待ってくれよ!何で私ひとり置いて行こうとするんだよ」

ひとりの部下が振り向くと吐き捨てるように呟いた。

「人殺しを上司だと思いたくもないので…失礼します」

復讐編に続く。