日本代表、2011 AFC AsianCup 優勝おめでとう!
2試合連続の120分間の死闘でしたが、セミファイナルと同様、ファイナルも本当に素晴らしい試合でした(試合の詳細は【こちら】 (大会公式HP)で)。
語りたいプレーは山ほどありますが、その中でも1つだけ取り上げるとしたら、やはりなんと言っても、李忠成選手のあの「美しいボレー」。
打点とイイ、足の振りとイイ、テキスト通りの綺麗なボレーでした(もし私であれば、クロスバーの上にボールを”上げて”いたでしょうね。そして、メンバーにこう言われるのです。「お前、昨日”揚げ物”食べただろう!」と(爆))。
ただ、そんな素晴らしい試合を見ていて、主審による試合終了のホイッスルが鳴り、選手、監督、スタッフ、そしてサポーターが喜んでいる姿を目の当たりにすると、ふと最後に考えてしまうのです。
「なぜ、このチームは優勝できたのだろう?」と。
この内容は少し長くなるので(苦笑)、ここで毎月恒例の「月一奮闘整理」に入りたいと思います。皆様には、バックナンバーとして利活用して頂けますと幸甚です。
以下では、今月の奮闘(読書)記録をテーマ別に整理しております
(なお、記事の横には掲載した月日(曜日)を、下には主要な参考文献を記載しています)。
------------------------------
【2011年1月の奮闘記録】
■【節目】
■【社会学】
「南場智子氏の戦略的演技」(前半)(1/14(金))
週刊東洋経済 2011/1/8
「南場智子氏の戦略的演技」(後半)(1/18(火))
週刊東洋経済 2011/1/8
------------------------------
それでは先ほどの続きで、「なぜ、このチームは優勝できたのだろう?」を…
■「チームとしての強さ」に注目!
日本代表には、本田選手や香川選手、長谷部選手、遠藤選手、長友選手など、多くの優れたプレーヤーがいます。
けれども率直に言って、彼らがカカ(ブラジル)やメッシ(アルゼンチン)、ロナウド(ポルトガル)、ルーニー(イングランド)といったワールドクラスで活躍するファンタジスタやストライカーかといえば、少々答えに窮してしまう。
つまり、日本代表にはズバ抜けた能力のある超A級の選手がいる!とは、即答できないということです。けれども、そんななかでも、日本代表は確実に勝利を収め続け、優勝を勝ち取った。
もちろん、AsianCup自体に超A級の選手が存在していなかったと言えるかもしれません。そのため、他国と比較して相対的に、日本の選手が優れた能力を持っていたということになり、ゆえに勝ち続け、優勝することができた。
ただし、オーストラリアにはハリー・キューウェルやマーク・シュウォーツァーがおり、また韓国にはパク・チソンといった素晴らしい選手がいました。そのような選手がいるチームに、日本代表は勝ったのです。
そうであれば、今回の優勝を「個々の選手の能力の高さ(マイクロ)」で説明するのが少々困難になります。
そうすると、次に目を向けるべきは、「チームとしての強さ(マクロ)」だと考えます。
そこで「チームとしての強さ」に注目すると、今度は以下のような、先ほどよりも具体的な疑問が浮上します。つまり…
「AsianCupのために組まれた、いわば即席のナショナルチームが、なぜこの短い間にチームとして機能し、最終的にアジアNo.1になれたのか?」
■「猛者」たちをチームとして機能させる「マネジメント」とは?
日本代表の個々の選手たちは、普段は国内外のクラブチームで活躍しています。そこでは、チームの「猛者」として、「自分が一番だ!」と思いながら、全力で優れたプレーをしています。そんな屈強な自信家たちが、ある1つのイベント(「AsianCup」)のために集結し、優勝目指して一致団結して、最終的に結果を残していく。
この点が、「コンサルタント」という立場から見ても、非常に興味深いのです。
コンサルタントも、良くも悪くも「自分が一番!」(と勘違いしている?)プレーヤーです(笑)そんな(良い意味で)海千山千のプレーヤーが、ある1つのイベント(「プロジェクト」)のために集まり、目的を達成するために連帯し協力しながら、成果を出していく。
ただ、ここで難しいのは、「そんな海千山千を、どのようにチームとして相互に連帯させ、協力しながら成果を出す組織にするのか?」ということなんです。これを一言で言うと、「チームマネジメントの問題」ということになります。
私も、プロジェクトによってはマネジメントの立場に立つこともありますが、そこでは(良いか悪いかは別として)「我の強い、強烈な個性」を持つコンサルタントがいるので、この人たちをどうチームとして束ねて機能させていくか。
これは、古今東西、私でなくとも多くの方が抱えている問題だと思います。
■「コンティンジェンシー(条件適合)」
日本代表の個々の選手たちも、それはそれは「我の強い、強烈な個性」を持っていると思うのです。だからこそ、私はザッケローニ監督に聞いてみたい。「多様な猛者たちを、この短期間で、どのようにしてアジア最強の常勝チームに仕立て上げたのか。そのマネジメントとは、一体何か?」と(何せ、ザッケローニ監督は2010年の日本代表監督就任以来、負けなしなのですから!)
おそらく今後、様々なメディアがこの点を取り上げていくと思うので、その内容に私は注目したいと思います。
ただ、私の拙い経験で言えば、残念ながらこの問題に対して「唯一の解」など存在しない。
それこそ試合(プロジェクト)によって、また、そこに集まる選手(コンサルタント)の多様な個性によって、マネジメントのスタイルは異なる。そういった意味で、この問題に対する「現状の解」を挙げるとすれば、1つだけ。
「コンティンジェンシー(条件適合)」。
つまり、その時の「条件」、「状況」に応じて、マネジメントのスタイルを変える、ということ。したがって、ここで重要なのは、複数のマネジメントスタイルを保持しておくことであり、条件・状況に応じて、そのスタイルを柔軟に使い分けることだと、私は考えるのです。
-----
と、こんな知ったような口を聞いている私ですが、そんな私の現在は、複数のマネジメントスタイルを創ることに、またその使い分けが実践できるように、色々な人を巻き込んで奮闘している最中なのでした(笑)。
ちなみに、私がザッケローニ監督のコメントで目を向けるのは、監督が試合ごとに用いた「采配(マネジメント)」です(そうすることで、「なるほど、あなたはチームが勝つために、あの時、あの采配(マネジメント)を使ったんですね!」ということが分かりますので(笑))。
そして、このように考えていくと、今回の「日本代表優勝!」という結果、換言すれば「アジアNo.1を達成したチームとしての強さ」の背景には、やはり「マネジメント」というキーワードが潜んでいるんですね(でも、これは私の恣意的な視点であり、無論、今回の日本代表の優れた結果の背景には、もっと「異なるキーワード」があるとも思います)。
-----
以上のように、ここまでで色々と記してきたのですが、結局のところ、「なぜ、このチームは優勝できたのだろう?」という当初の問題に対して、今のところ明確な解を述べてないですね。ただ、その理由はシンプルでして、浮かんでこないだけ(苦笑)。
けれども、「マネジメント」と絡めて言えば、「チームが優勝するためには、無論マネジメントが必要。ただし、そのスタイルはコンティンジェンシーだ!」ということになります(しかし、これは問題の解としては成立してないですね。というのも、「コンティンジェンシーはわかったけど、では、この条件・状況だと、どんなマネジメントスタイルが必要なの?」といった個別具体的なケースに、この主張は、一切答えてないので。ということで、これは今後の課題としまして、本エントリーの内容は、問題提起で留めておきたいと思います(泣))。
と、そんなことを、日本代表の優勝を見ていて思うのでした。でも、この問題について考えることは、何かと重要な気がするのです。
コンサルティングファームに限らず、事業会社等の実務の世界では、また学問の世界でも、これを「チームマネジメント」や「ダイバーシティマネジメント」という切り口で取り組んだり、あるいは1つの研究テーマとして追究しています(そういえば、某ファーム様では、「多様性(ダイバーシティ)からの連帯」という理念を掲げていらっしゃいました)。
その事実を考慮すると、この問題は、結構重要なトピックだと思うのです。
ただ、この話をしだすとまた長くなるので、いずれどこかでするとして…、
とにもかくにも、日本代表、AFC AsianCup優勝おめでとうございました!
私も日本代表に見習って、奮闘記録の更新は相変わらず少ないですが(苦笑)、それでも日々のコンサルティングでは、代表選手と同じくらい(あるいはそれ以上?)に必死になって戦って行きます。
皆様、来月もどうぞ宜しくお願いいたします!
I will do my best next month!!
【サッカー(2010 FIFA World Cup)関連記事】
- ゴールは偶然の産物ではない~FCバルセロナ流世界最強マネジメント~/フェラン・ソリアーノ
- ¥1,680
- Amazon.co.jp
- 個を活かすダイバーシティ戦略/マーサー ジャパン
- ¥2,520
- Amazon.co.jp
- ダイバシティ・マネジメント―多様性をいかす組織/谷口 真美
- ¥4,935
- Amazon.co.jp