モンクのパッキャマラード | ジャズについて話そうか
2014-09-15 10:03:44

モンクのパッキャマラード

テーマ:JAZZとサックスの話
今日のモンクは、もちろんセロニアス・モンクさ。


モンクの記事を読んでいたら、
コロンビアに移った後では、
だんぜん「モンク」がいいとあったよ。


ぼくは、このアルバムのことは知らなかったのだけど、
早速聴いてみた。





セロニアス・モンク 「MONK.」


3曲目の「チルドレンズ・ソング」になったら、
なんか無性に懐かしさがこみあげてきて・・・


この曲、知らないけど、なんか知っている、懐かしい。


クレジットには、特に指定がない限り
モンクの作曲とある。
指定はない、ということはモンクの曲か、
でも、どっかで聴いたことあるなー。


どっかひっかかったまま、
気持ちの悪いぼくだったけど、
何回か聴くうちに、どうゆうわけか
ぼくの頭に懐かしいNHKの「みんなのうた」が・・・


えっ、これはなんだ?


なんかこう、「らんらららんらん、らんらららんらん、パオパオパパパ」
おお、「パッキャマラード、パッキャマラード、パオパオパ」


これって、「クラリネットこわしちゃった」じゃん。


やったー、スッキリ!


って、まさかのダークダックス(笑)


もともとは、フランスの古い歌らしい、
それが世界中に広まって
日本では、「クラリネットこわしちゃった」ってなったってわけ。


そういう耳で聴くと、
チャーリー・ラウズのおとぼけテナーが、
こどものクラリネットみたいに聴こえてくるね。


これは、モンクの変奏曲なんだね。
モーツァルトの「きらきらぼし」みたいな。
勝手に「モンクのクラリネット壊し変奏曲」って呼ぶことにしよう。


おススメだよ。
聴いてみて、楽しいから。




<ちょっとJAZZ評論のコーナー>


モンクが、コロンビアというメジャーに移って、
創造性や元気がなくなった。
マンネリになった、昔と同じ曲ばかりやっている。
どうしてチャーリー・ラウズと12年間も一緒にやったのか?


などという意見や疑問が多く、
これについては、色々と言われているようですが、
ここでは、メジャーレーベルという大手レコード会社からの
アプローチで仮説を展開してみましょう。


モンクの最初期の録音にあたる、
ブルーノートの2作、「
ジーニアス・オブ・モダン・ミュージック VOL.1 」と
「ジーニアス・オブ・モダン・ミュージック VOL.2」には、
モンクの代表作と言われる曲がオリジナルやスタンダードを含めて
ほとんどでそろっています。


ということは、モンクの音楽家としてのピークの少なくとも一つは
この時期1947年~52年にあったと思われます。


モンクはこの後も作曲とマイナーレーベルへの録音を続け、
メジャーのコロンビア(CBS)に移籍する1962年までには、
ほとんどの代表曲が書きあがっていました。


コロンビア(CBS)は、アメリカ最大のラジオやテレビのネットワークを持っている
メジャーです。
ここで、録音されるということは、
アメリカ全土はもちろん、ワールドワイドな展開ができるということになります。


これまでの、マイナーレーベルの録音とは、
わけが違うということはお分かりいただけるでしょう。


そのメジャーのコロンビアが全国ネットで音楽を流す場合に
自社傘下のミュージシャンは、もちろん自社レーベルの
吹き込みになるというのが、ビジネスの流れになります。


ということはモンクが、コロンビアに入った時点で、
マイナーレーベルの録音は無いに等しい事となりました。
あるのは、依然吹き込んではいたものの
コロンビアでの実績はゼロのオリジナル曲になります。


つまり、モンクがマンネリのように
以前、ブルーノートやリヴァーサイドといったマイナーレーベルに録音したものと
同じ曲を録音したのには、
このメジャーの事情を考慮して
考えなければ、答えは出てきません。


誰にもわかりやすく、できれば3分程度の短い演奏が
好まれるのは、ヒット作を生まなければならない
メジャーの宿命です。
それは、ジャズも例外ではありません。


同じメジャーであるRCAビクターに移籍した
ソニー・ロリンズの諸作や、
コロンビアの先輩、チャールズ・ミンガスの
「ミンガス・アー・ウム」なども
このメジャーの流儀で、コンパクトに作品がつくられています。
(例外としては1956年には早々とコロンビアに移籍し、
全国的に知られていたマイルス・デイヴィスが挙げられます)




ソニー・ロリンズ「ザ・スタンダード」





チャールズ・ミンガス 「ミンガス・アー・ウム」

また、どうしてチャーリー・ラウズを使ったのか?
という疑問も、メジャーの流儀、
「ヒットしたのならば同じ路線で続ける」(数字の読めない冒険はさける)
「録音のコストカット」(リハーサル時間の短縮や、ミスマッチによる失敗をさける)


という観点から考えれば、
これほど適任のミュージシャンはいないでしょう。


モンクは、創作意欲がなくなったのではなく、
メジャーから、昔の曲を録音するように言われていた。


そう仮説を立てると、
なかなかどうして、毎アルバムごとに
ちょっとした新曲を入れ込んでいることに
気が付くはずです。


モンクには、同じメジャーに居ながら
マイルスのような幅広いカリスマ的な人気や
チャールズのように、言うことをきかない頑固さを持ち合わせずに、
モンクなりに真面目に全世界に知られようと
努力したメジャーでの苦労があったわけです。


いずれにしても、このメジャーレーベルの売り込みの底力と
モンクのメジャーでの適応があってこそ、
1964年にアメリカの国民的雑誌「タイム」の
表紙を飾った4人目のジャズミュージシャンという
栄誉を得るわけです。
(ルイ・アームストロング、デイヴ・ブルーベック、デューク・エリントンに次いで)


前述のソニー・ロリンズやチャールズ・ミンガスなど、
必ずしも、メジャー移籍が彼らにとって良かったかどうか
疑問の場合もありますが、
セロニアス・モンクにとっては、
ジャズファンの気持ちはどうあれ、
ジャズ全体の認知度を上げる意味でも
良かったのではないかと
思えるという、考察です。




大須賀 進さんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

コメント

[コメントする]