バドとバードとバッドな関係 | ジャズについて話そうか
2014-08-08 17:58:08

バドとバードとバッドな関係

テーマ:JAZZとサックスの話
この間、フランス人で
バド・パウエルのパトロンだった
フランシス・ポウドラって人の
「Dance Of The Infidels: A Portrait Of Bud Powell」
を読んだ。




フランシス・ポウドラ「Dance Of The Infidels: A Portrait Of Bud Powell」


それで、バド・パウエルにがぜん興味がわいてきて
他にも色々調べたのさ。


この本の中には、
狂気の天才って呼ばれたバドはもういなくて
ただの恐妻家でアル中で、ピアノが少し弾けて
気が良くて、時にボーっとしている
バドがいる。


フランシスとの会話の中でバドは、
「ソニー・ロリンズをどう思う?」
「ソニー・スティットは?」
「ファッツナヴァロは好きか?」
とか、聞いてくるらしい。


一番偉大で、影響を受けてるバードの話がでないので、
「バードはどうだったの?」
と聞くと、
「バード…うん、いっしょにやってたよ…」


なんか話したがらないので、
「バードとなんかあったの?」
と聞くと、
「ん…ないよ」


なんか歯切れが悪いって書いてあった。


自分の絶頂期に引き立ててもらって
いっぱい共演したバードなのに
その歯切れの悪さは尋常じゃないよね。


どうしてかなって思ってたら、


調べるうちに他からバードが亡くなるちょうど1週間前の話が出てきたよ。


自殺未遂をしたり、病気だったりボロボロだったバードは
自分の名前をとってつけられた「バードランド」に
再起をかけて出演したのさ。
(それまで、バードの素行が悪くて出禁になっていた)


その時のメンバーにバドがいた。


演奏前にバドは、盲目のピアニストのレニー・トリスターノとテーブルで談笑しているバードに
「お前なんか、もうすごくないんだぞ」
なんて小学生みたいな悪口を言ったりして
レニーに「バド、バードはお前の親父さんみたいなものじゃないか」
なんてたしなめられているのさ。


もちろん、そのあとで
バードとは大ゲンカになったらしい。


演奏に入ってもバドはなおもわざと一人だけ違うテンポで弾いたり、
「とっちゃん、キーはなんでやんの?」
なんてバードにわざと聞いたりしていたらしい。


バードも
「キー?S(シット)だよ、マザー(4文字ワード)」
なんて応じたりして、
もうぐじゃぐじゃ。


結局その日はほとんど演奏しなかったらしくて
店のオーナーは怒るし、
消沈したバードは、「もう、誰の迷惑もかけないところに行くよ」なんて
ほほを涙でぬらして共演のベースのミンガスに話していたって。


その1週間後に、バードは亡くなってしまうんだよ。


これは、きっとバドはつらかっただろうね。
自分がふった大ゲンカが最後になってしまったんだから…


ずっとバードのことは心にあったんじゃないかな。
そう思いたいね。





チャーリー・パーカー「ジャズ・アット・マッセイ・ホール」


この演奏は、大ゲンカの2年前、
最後のバドとバード二人の偉大な顔合わせだよ。


二人はどこか似ていたから、
ケンカになったのかもね。


大事な人とは、
かならず仲直りしてから
バイバイしようね。
それがどんな時でも。





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