【いつからか】



「神崎。これ良くないか?」
「えぇ~今吉君はこっちの色でしょ!」
「そうか?」
「うん!」
 今、今吉君と二人で買い物をしている。今吉君が私服を買いたいと珍しく言ってきた。いつもなら一人で買うのに・・・何かあったのだろうか。


「おっ、これ神崎に似合うんじゃないか?」
「今吉君って本当にセンスないよね。絵のセンスもないけど」
「あのな~。」
「頭はいいのにね。」
「頭良いからって絵が描けるわけではないわ。」
「それさえできれば、パァーフェクト男子なのにね。」
 からかい混じりに話す。だから完璧なんてどうでもいいし求めたいとも思わない。だって求めたところで答えてくるのは息苦しさだけだから。


「神崎は完璧な人でなければ駄目なんか。」
「どうだろうね。」  
 驚いた。今吉君から質問されるなんて。いつもならこっちが今吉君にのせられて問いかけてるのに。まるで・・・いつもの逆だ。

「そうなんか?」
「どうしたの?今吉君らしくないけど。」

「そうか?」
 何を思っているの。何を考えてるの?何か__あるの?





 時間がたっても今吉君が考えてることはわからなかった。ただいつもと違う。そのことだけはわかった。反対にそれしかわからなかった。


「今日はありがとさん。じゃあ明日」 
 ねぇ。何で?何でそんな顔をするの?何でそんな君らしくない表情をするの?言えないことがあるの?言いにくいことなの?私には関係ないことなの__?
嫌だよ。そんなの。私に隠し事できると思ってるの。幼い頃から一緒にいるこの私に嘘が通ると思うの?そりゃ君は何考えてるかよくわからないし、本性もわからない。けど今回はわかったよ。


 ___なんでそんな寂しそうな顔をするの。



「神崎?」
「隠し事・・・」
「え?」
「なにか隠し事してない?」
「そりゃ人には隠し事1個や2個あるやろ。」
「そんなのじゃなくて、一人で抱えてたら不安になること。」
「それ聞いてどうするんや?」
「どうもしない。だって今協力するって言ってできない物なら言葉だけの飾りになるもの。」


 すべてを話して欲しい訳じゃない。私に話して欲しいわけでもない。ただ、そんな顔をして欲しくない。自分勝手だけどそう思うの。


「神崎はやっぱいいわ。」
「何それ。」
「自分の気持ちに嘘をつかないやろ。尊敬するわ。」
「嘘だー」
「本当やで?」
「え~?」
 本当にそう思ってるのかな。でもね。私、自分に嘘ついてるよ。家ではいつも感情を捨ててたりしてたから。


「そやな・・じゃあのってもらうわ相談。」
「うん。」


 私で良いのかわからないけど、言ってくれるのであれば嬉しい。少しでも晴れるのであれば。


「部活も事や」
「部活?」
 あぁ。とでも言うかのように頷かれた。
「部長はだいたい決まってるんや。けどな、副部長が決まらんのや。」
「副部長か・・・あっ、青峰君とか!」
「青峰か。そりゃおもろそうやな。」
「今吉君は実力をとる?それとも信頼性をとる?」
「そやな・・・ワシは、どちらも捕る。」
「そっちも?」
「そうや。ワシら桐皇学園は、ほぼ個人プレーで繋げとる。これを壊そうとはしない。けど司令塔は必要や。もし今まで通りのプレーをやって相手に通じんかったらチームプレーでやっていかんとならん。そしたら司令塔はとても大切やろ?」
「うん。でも、そも司令塔は決まってるんだ。」
「そうや。けどワシが思うに、副は大切や。キャプテンと仲間がケンカしたら誰も止められなくなる。そしたらバスケなんてできなくなる。そやろ?」
「うん。そうだね」
「経験済みか?」
「さぁ?どうでしょ」
「だから、弱音や責任感がないような発言を言わない奴が望ましい。」
「じゃあ決まってるんじゃない。」
「そりゃな。言われてみりゃそうだわ。」
 今吉君は笑った。冷たい空気を背よいながら__。


「言えないことなの___?」
「何か、言ったか?」
「うぅん。何でもない。」
「神崎意外には相談せんよ。」
 柔らかい笑み。本当なのか、嘘なのか。





 私は貴方のこと、何も知らないかもしれない_____。