江戸川乱歩ばりのおどろおどろしい表紙絵が印象的だった。
「むかしむかしあるところに、死体がありました」とか「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」で有名な著者さん本。
警察庁の本庁地下4階に存在する「第二種未解決事件整理係」。
怪奇現象めいた未解決事件を再調査する部署「呪われ係」と呼ばれる部署に配属された、55歳になったベテラン刑事、只倉恵三が話を進めていく。
白髪のミイラのような眼帯男牛斧係長、髑髏を一生懸命磨いている鴛海、卒塔婆のような細い板に意味不明の漢字を書き続ける幕場など、新しい職場の同僚たちは怪しい人ばかりだった。
只倉は、怪談話などまったく信じない人だったが。
自分の娘日向の恋人であり怪談師の関内炎月の力も借りて、怪奇現象と言われていた諸事件を解決していくお話はお見事だった。
いずれも絡んできた生霊など不可解な怪奇現象も織り交ぜて背中にゾクッとし気持ちがこわごわとしながらも読み進め読み応えがある物語だった。
<目次>
第1話 繰り返す男
第2話 猫に憑かれた女優
第3話 トンネルとマヨイガ
第4話 物の怪の出る廃校
第5話 対決・仏像怪談
第6話 生霊を追って
装画:市川友章
エピローグ
1980年、千葉県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。早稲田大学クイズ研究会OB。『浜村渚の計算ノート』で第3回「講談社Birth」小説部門を受賞し、小説家デビュー