【第4回再放送】が終わって市販された、

特別機動捜査隊 スペシャルセレクション<デジタルリマスター版> [DVD]

の作品から抽出しました。

市販品なので、

(あらすじ)などストーリーの本質にかかわるところは伏せ、

スタッフやキャスト、また(備考)・(ネタバレしない範囲での一般的感想のみ

にとどめます。

将来、東映chなどで、一般的視聴されるようになったら書き加えていく予定です。

 

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

なお、オープニングやエンディングで配役名表記がされない作品については、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」の原則だと平仮名だらけの文面となります。そこで役名・地名等は、検証本その他を引用、あるいは当方での当て字により、以下表記します。

配役名表記が有るため、従来の「発声のみの役名については平仮名表記」「オープニング・エンディングの表記と、劇中発声・表記が異なるときは、後者を優先」する原則に戻り、以下本文を表記します。例外は、その都度(備考)で示します。

 

☆・・・#308  流転の旅路

特別機動捜査隊(第308回)流転の旅路

 

 

 

(収録DVD)・・・VoL2、disc4、2021年1月13日発売

(本放送)・・・1967年9月20日

(脚本)・・・小川記正

(監督)・・・奥中惇夫

(協力)・・・警視庁

(協賛)・・・伊東温泉、ホテルゑびな

(助監督)・・・上杉健

(劇中ナレーター)・・・島宇志夫

(捜査担当・オープニング表記)・・・立石班

西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(上田侑嗣)、

鑑識課員(新田五郎)、事務員(佐藤敏子)、橘部長刑事(南川直)、

荒牧刑事(岩上瑛)、桃井刑事(轟謙二)、岩井田刑事(滝川潤)、

松山刑事(松原光二)、立石主任(波島進)

 

(出演者・オープニングまたはエンディング表記)

・・・劇中優先のため配役名表記を省略

松川純子、浅見比呂志、市川春代、今村源兵、西川敬三郎、飯田覚三、小池明義、

神田正夫、稲葉まつ子、森ひろ子、根本嘉也、和田啓、若山みち子、山本緑、

国創典、石川玲、西朱実、水沢麻耶、涛章二郎、比良元高、野本礼二、小杉幸司、

糸博、佐々倉英雄、夏海かず子、夕城三千代、松川江美、駒村クリ子、井川知子、

大野広高、原田赫、綿引英臣、栗原智可子、山本芳男、鈴木幸子、沢久美、

富田仲次郎

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

それは、悲しい出来事だった。

哀願する○の祈りも虚しく、然様(サヨウ)は秋風に冷たかった。

入墨が語る、古き因縁ゆえに、

無残に散った○○○は、○○にどんな復讐を託したのだろうか?

転落の果て、憎悪に燃えて、秘かに機会を待つ○○であった。

貪欲な大人の計略に巻き込まれ、

胸膨らむ青春の日々を奪われた○○○○○の怒りは、

立ち塞がる人間悪の壁を突き破ることが出来るだろうか?

数奇な運命に弄(モテアソ)ばれ、今は病床に伏す○○と、

流転の果て、別離に泣く○・・・。

相呼ぶ○○の流転の旅路は、いつ果てるとも無く続くのだった・・・!

 

※ストーリーの本質に触れる部分はボカします。

 

 

(備考)・・・

・蔦乃家の芸者を演じる夏海かず子は、後年の夏海千佳子である。

・エンディング表記にある「下地っ子」とは、下地(シタジ)ともいい、goo国語辞書によると「芸妓や役者などになるための見習い中の者」の意。

・料亭の「かわばた」はエンディング表記だと「川鍋」になっているが、劇中では「川端」と看板表示されているため、以下本文では後者にしたがう。

・劇中で、「かわばたちょうきた」と発声されるが、近辺に料亭・川端がある設定のため、以下本文では「川端町北」と字を充てる。

・経師屋(キョウジヤ)とは、ふすまなどの表装を扱う職人や店の総称で、以下本文では単に「表具店」と表記する。なお、劇中の丸伊不動産は、西武池袋線・中村橋駅南口のバス通り(千川通り)周辺で撮影したと思われるが、現在では本放送時の名残を見つけ出すのは難しい。

・劇中の芸者置屋「佳いずみ」は「ヨシイズミ」と読む。

・特捜隊本部の板書では、えいりん寺が多摩川を渡った東急線・高津駅(神奈川県)とあり、劇中ナレーションの「世田谷区川端町北2丁目」とは一致しない。ストーリーの流れからは前者が正確だと思われるが、下記ナレーションには下線を引き、備考を参照するよう指摘した。

 

 

(視聴録)・・・開始約分半まで

(ネタバレしない範囲での一般的感想)

主な関連人物をまとめますと以下のとおりです。

(演者は・・・の次に、判明出来る俳優名を表記)。

 

〇えいりん寺の寺男・・・・・・・・・・・・・・石川玲

〇置屋・蔦乃家の芸者(5人)・・・・・・・・・

夕城三千代、井川知子、夏海かず子、松川江美、駒村クリ子                       

〇ボート乗り場の男(2人)

〇大衆鍼灸場の主人

〇山田温灸院の院長

〇料亭・川端の店主・・・・・・・・・・・・・・神田正夫

〇川端の板前・良平・・・・・・・・・・・・・・浅見比呂志

〇高橋歯科医院の院長・・・・・・・・・・・・・涛章二郎

〇渡船場の主人・・・・・・・・・・・・・・・・今村源兵?

〇吉川商店社長・吉川金兵衛・・・・・・・・・・富田仲次郎

〇吉川の妻

○吉川の債権者(3人)

〇大久保の彫師・戸樫・・・・・・・・・・・・・飯田覚三

〇富樫宅の近隣主婦

〇丸伊不動産の社長

〇表具店主・高野・・・・・・・・・・・・・・・佐々倉英雄

〇高野と組合旅行に出かけた男(2人)

〇村山あき ・・・・・・・・・・・・・・・・・・市川春代

〇あきの娘・光子 ・・・・・・・・・・・・・・・松川純子

〇東京恵和病院・医師 ・・・・・・・・・・・・・糸博

〇東京恵和病院・看護婦 ・・・・・・・・・・・・山本緑

〇伊東のホテルゑびな・支配人

〇ホテルゑびなの仲居・千代子 ・・・・・・・・・水沢麻耶

〇千代子の同僚仲居

〇伊東の蛇の目寿司・板前

〇熱川の置屋・花乃家・梅和歌 ・・・・・・・・・稲葉まつ子

〇梅若の弟子芸者(3人)

〇熱川の所轄署巡査

〇網代の置屋・佳いずみの女中

〇佳いずみの古参芸者  ・・・・・・・・・・・・・若山みち子

〇その同僚芸者(3人)・・・・・・・・・・・・・沢久美、他

〇網代の宿泊所の宴会客(4人)・・・・・・・・・西川敬三郎、他

〇網代の宿泊所の女中

 

 

「通報を受けた特捜隊・立石班は、世田谷区川端町北2丁目のえいりん寺へ急行した」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋、下線部は備考参照)

事件は、置屋・蔦乃家の今は亡き先代女将の墓参に、芸者5人がえいりん寺を訪れた際、案内の寺男が、墓石の香炉がずれているため調べてみると、墓石内に生首を包んだ風呂敷を発見したというものだった。鑑察医は、年配男の首で顔は潰されているが、鋭利な刃物で死後切断、死後約36-40時間経過、一昨日の夜8-12時を死亡推定時刻と見立てる。また、鑑識・上田は上部の歯は総入れ歯と報告する。これらから立石主任は、全員に、付近一帯の聞きこみ、胴体のありか、死体の身元確認を重点事項として、捜査の指示を出す。

芸者5人は先代に恨みを持つ人物に思いあたらず、首の男については寺男共々覚えは無いという。しかし、えいりん寺裏の多摩川岸の草叢で、桃井・松山は、腕時計と血のついた棍棒、さらには靴・草履の足跡を発見。立石主任は、争った痕跡もあり、ここが犯行現場と考える。

 

そんな中、犯行現場上流のボート乗り場で、浮かんだ死体が発見される。

「110番からの通報により、立石班は直ちに現場に急行した」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

その死体は首無しの状態で、右肩に般若・菊の刺青、背中にお灸跡が見受けられた。このことから、荒牧はえいりん寺の首の件に関連した胴体と考える。これに、橘は胴体に重しをつけて沈めたこと、立石主任も犯行現場の足跡の物証から、荒牧の考えに同意する。

 

この2つの事件を持ち帰った特捜隊本部では、鑑察医がこの首と胴体とは同一で、死因は鈍器状の物で撲殺、死後切断、遺留品の棍棒との血液型も一致したと報告。

鑑識・上田は、死亡推定時刻を一昨日夜11-12時、年齢は54,55歳、身長は1m67cm、体重75kgと正式確定させる。しかし、棍棒および腕時計の指紋は、前歴無し、胴体の指紋とは不一致、さらには風呂敷からの指紋は採取不能との報告だった。

しかし、鑑識・新田が、首から復元写真を作成することに成功。このことで立石主任は、二子玉川・登戸・高津の円周内を捜査地域としてあたるよう指示を出す。

 

「翌朝再び、特捜隊・立石班の捜査は開始された」

(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

しかし、再度の置屋・蔦乃家芸者5人への聞きこみも進展は無く、お灸跡から大衆鍼灸場、山田温灸院をあたってみても、それは変わらなかった。

「その頃、立石・桃井の両刑事は、多摩川の上流、上流へと聞きこみ捜査を続けていた」(ナレーションから、訂正無しで抜粋)

すると渡船場の主人が、写真、入墨・お灸跡の話に反応。20年前、もっと上流の砂利場で一緒に働いていた男に違いなく、その男の氏素性のほか、大久保の富樫という彫師のところで一緒に入墨を入れたことを話し出すのだった・・・。

 

 

【スペシャルセレクション】となってからの小川記正脚本ですが、これまでの立石班・藤島班絡みでは

(1) #285 拾った女【スペシャルセレクション】

(2) #404 待っていた人【スペシャルセレクション】

(3) #200 女の終着駅【スペシャルセレクション】

(4) #291 豚と栄光【スペシャルセレクション】

がありましたが、後年の小川記正ワールドが希薄な作品の印象を受けました。この中では、(1)が匙加減一つで一変する可能性があるのみで、個性が見出しにくい作品群といえました。

PN(プセウドニーモ)の可能性を考えれば

(5) #121 けだもの【スペシャルセレクション】

があるのですが、特捜隊初期の初期の作品とはいえ(5)のほうが、まだ小川記正らしい個性に満ち溢れている感じでした。

 

それらが前提となった当作の観賞ですが、これは面白い部類です。

まあ、上記本文ではネタバレに近いところを省き、文章を調整しているので、実見すると刑事ドラマとして甘いと感じるところがあります。

しかし、人間ドラマとしては、ある人物同士のいきさつが描かれていないこと、予告篇が煽りすぎなどの物足りなさを感じつつも、予告篇の大まかな大河ドラマ的な悲劇が60分枠に凝縮されており、誰も得をした者がいないラストはまさに小川記正ワールドの実現でした。

時期的には(2)の遥か前の当作ですが、(2)がアクシデント的な作品としたら、(1)あたり(1967年4月あたり)から小川記正ワールドの萌芽が生まれ、(4)を経て当作(1967年9月)に至ったとみれそう。後年のような「人間の情念」をおどろおどろしく展開させるのは、1967年の時点ではまだ難しい時代だったのでしょうが、その下地は充分にうかがえます。

ただ、これは【スペシャルセレクション】からのアプローチで、【第1回再放送】【第2回再放送】は年代順なので、そこからのほうがもっと正確なのですが、未見ゆえ確信は持てません。

 

いずれにせよ、人間ドラマが刑事ドラマを飲み込んだ、小川記正ワールド実現作品として位置づけられますが、その功労者は悲劇の主人公を演じた松川純子にあると感じました。妖しげな女を演じた#467 花火と女 、#470 苦い十五年 もインパクトがある役柄でしたが、作品はイマイチながらも悲運の女性を描いた#724 おもかげの宿 に近い役柄を、当作でも演じていたのには驚きました。天国と地獄、それを少女期から成人期まで演じ、ラストの一筋の涙、それを見つめる立石主任のコントラストはお見事。これは、#306  土と金と女【スペシャルセレクション】 でべた褒めした奥中惇夫監督の演出も関連していることと確信します。

 

少し残念だったのは、市川春代で、これで終わり?という印象でした。自分には、鴛鴦歌合戦(1939年)のおきゃんな町娘、岸恵子版・君の名は(1953年)での一癖ある夫人などのイメージがあるからかもしれません。 

もちろんこれらの作品の頃とは年月が経っているので仕方は無いのですが、ふと、#500 勇気ある女 (500回記念作品) でも、水戸光子が(註・暖流 での看護婦役と比べて)同じようだったなあと思い出しました。。。