「となりに座っても?」……「あ…うん…いいよ」冬の冷たい空気と、茂みを振い落して裸な、それでも凛と青天を目指す樹木たちの中に、ベンチでひとり深呼吸しているような彼を見とめた。「おひとりですか?」……「あ…うん…いつも……いつでもどこでも」彼の言葉はすんなりと空気にとけこみ、まだ若いはずなのに孤独な老人の呟きのように違和感がなかった。
ちょっと愛想笑いを唇の端に秘そませて尋ねた「出身地はどちらかしら?」……「遠いよ…ずっと遠いよ」彼にしてみれば、私はいきなり隣りにやって来て話しかけてきた見知らない一人、やっと振り向いてくれたのが嬉しかったけれど、彼の目には私を訝しがる視線も見つけた。ただそれよりも、彼の目は私の目の奥深くに入りこみ、私の全てを一瞬に知ってしまった者のように感じた。
やおら右人差し指を天に向け「ジャラジャラ星」とひとりごとのように呟く……「じゃらじゃら?ジャラジャラ!じゃらじゃらって?」……「宝石が降る星なんですよ…ジャラジャラと音を立てて…だからジャラジャラ星と呼ばれるようになって」……「でもそれじゃ街は宝石浸しになるんじゃなくって?」……「だいじょうだよ…洋服に仕立てるから、だからみんな、いつでもどこでも、座ってたって歩いていたって、キラキラと輝いていた」
そうなんだ…いま私の隣りにいる彼は…何億光年?向こうの『ジャラジャラ星』からやって来たんだ…だから何にも馴染めないみたいに寂しそうなんだ……。









