私のカミングアウトレターズ-6 <終> | そして日々は続く

私のカミングアウトレターズ-6 <終>

次の日、母親からは事務連絡とともに、
「受け入れるのに少し時間がかかるみたい」
とメールがきた。

あれほど私の子供を心待にしていた母親が、
受け入れようとしてくれていることに、ただただ、頭が下がった。


私に約束を破られた弟も、
「全然いつも通りで驚いた。彼らの強さを思い知ったよ」
と、あの後の両親の様子について教えてくれた。



カムアウトした次の週末、夕飯を食べに、実家に帰った。

一緒にご飯を作って、食べて、近所の美味しいケーキをつまみながら、
いつも「友達」と置き換えて話をしていたあおちゃんの話を、「恋人」として、
「彼女」として、話をした。

少しぎこちなくて、でも、思いのほか普通で、なんだか不思議な感覚だった。




前日までに書いておいた手紙は、話すべきことは話せたので、
基本的には、用がなくなっていた。

ただ、話したことは消えてしまうし、いつしか曖昧になってしまう。

きちんと形にして渡しておきたいと、改めて書きなおして、
便箋に手で書き写して、投函した。


手紙には、話を聞いてくれたことへの感謝の気持ちと、
今まで打ち明けなかったのに、今回、打ち明けようと思うに至った理由と、
これからのことをどう考えているか、そして、これからの私を見て
安心してもらえるようになりたい、そしていつか私の恋人を紹介したいと、
そんなようなことを書いた。


あまり普段は書かない手書きの字は、バランスが悪くて汚くて、
しかも気付いたら、便箋の上下が逆になってしまっていて、
私らしくて、なんだか笑えた。



カムアウトがひと段落して、いま、改めて実感するのは、
カムアウトはゴールではなく、これからの親との関係を作っていく上での、
スタートの合図だということ。

これから、親が私に何を思い、何を期待し、
関係がどう変化していくのはわからない。
なにかが激しく逆戻りすることだって、荒れ模様になることだって、
あるかもしれない。

でも私が絶対に忘れたくないのは、このことを真剣に、きちんと
目をそらさずに、親が受け止めてくれようとしたこと。


あきらめなくて本当によかったと、思ったこと。


少しずつ新しく「これからのこと」を、つみあげていこうと、思っている。



*** *** *** ***



ことのはじまりから自分の頭を整理するために、ずいぶんと、
長く細かな連続記事になりました。


文体に、違和感を感じられた向きもあったと思いますが、
自分の気持ちや状況をまとめるのに、一番私には適していたようで、
おかげですとんと書けました。


ちなみに、ご存知の方も多いと思いますが、「カミングアウトレターズ」は、
親や教師とゲイ/レズビアンの子供の往復書簡をまとめた本で、
いずれ親にも、この本を渡せたらなと、思っています。

カミングアウト・レターズ/太郎次郎社エディタス

¥1,785
Amazon.co.jp

今回は、勝手にタイトルを拝借いたしました。



長くなった私の個人的な覚書を、ここまで読んでくださった方、
暖かいコメントを下さった方、ランキングを押してくださった方、
見守られているようで、とても嬉しかったです。


ありがとうございました。



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