トヨタ自動車、日産自動車などの自動車メーカーが平成27年春闘で、ベースアップ(ベア)に相当する賃金改善を昨年以上の水準で実施する見通しとなったことが12日、分かった。好調な業績を踏まえ、賃上げにより「経済の好循環」を生み出したい安倍晋三政権の要望に応える。春闘相場をリードする自動車業界で高水準のベアが実現すれば、多くの業種の労使交渉にも影響を与えそうだ。
自動車各社の労働組合は18日に春闘要求を一斉提出し、労使交渉が本格化する。ベアをめぐっては、13日に正式決定するトヨタをはじめ大手8社の労組が月6千円の要求で足並みをそろえる方針。日産が3500円の要求に満額、トヨタは4千円の要求に2700円で妥結した26年春闘に比べ2倍前後の高水準となる。
一方、経営側にも「足元の経済環境を考えれば昨年を上回るのが妥当」(日産幹部)との声がある。日銀は26年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率が消費税増税の影響で2・9%になると予想する。25年度(0・8%)と比べ大幅に拡大するため、ベアが昨年と同水準にとどまっては個人消費の回復につながらない恐れがある。
自動車各社は「アベノミクス」による円安の恩恵で海外販売の採算が改善し、27年3月期決算は最高益が相次ぐ見込み。
利益還元を求める圧力は強く、「経済の好循環を実現したい気持ちは政府と共有している」(トヨタの佐々木卓夫常務役員)と前向きな姿勢を示さざるをえない状況だ。