福島ゴルフ倶楽部 民報コース | ゴルフ場探訪記 in 福島

ゴルフ場探訪記 in 福島

震災と原発事故で大きな打撃を受けた福島県のゴルフ場、様々な歩みを体験リポートする。

福島ゴルフ倶楽部民報コース

誰とはなくこのコースを「名門」と呼ぶ。「名門」という名には様々な思いがこめられている。ゴルフ愛好家の梁山泊としての名門であったり、身近な存在としての名門であったり、親しみの象徴としての名門であったり、時には揶揄する意味で名門は使われる。

民報コースの開場は1961年、福島県内では最も歴史の古いゴルフ場である。翌1962年に会津磐梯カントリークラブ、2年後の1964年にいわきゴルフクラブがオープンし、福島県全地域へとゴルフ場の波が広がっていった。福島県のゴルフ場の歴史の出発点にある。東北でも3番目に古い。



2014年1月7日 冬真っただ中で、柔らかな日差しと青空が広がった。

福島市の市街地を見下ろすことができる市の南側、丘陵地帯にある。福島駅から車でおよそ20分。街にあるゴルフ場だ。目線を挙げれば雪に覆われた吾妻連峰が美しい。毎年、吾妻の峰に現れる雪形の「ゆきうさぎ」を地元の人は心待ちにする。種まきウサギともよばれ、農家はこの雪形を種まきの時期の目安にしていた。今年はまだ山の雪が少ないのか、雪ウサギの形が浮かび上がっている。
しかし、ティーグラウンドは凍っていた。ティーが芝生に刺さらない。グラウンドに鉄の棒でティを収める穴をあけてから始まる。

巨匠はこのコースを知り尽くしている。打ち上げと打ち下ろしに左右へのブレは禁物である。OBゾーンが近い。砲台グリーンが多いことも難しくしている。正確な距離感が必要だ。とりわけ、グリーン周りではアプローチの正確さが明暗を分ける。巨匠はロングホールで距離のあるチップインバーディを決めて、新しい年を良きスタートとした。

グリーンは高麗芝、なかなか手ごわい。名人はこの高麗芝に苦戦したが、最後の一打がスーパーショット。数々のミスショットはこの一打で帳消しとし、今年一年の健闘を誓うのであった。



2012年1月、民報コースは「福島ゴルフ倶楽部民報コース」と名前を改めた。
ところで「名門」とはなんだろう。
よく名門ゴルフ場といわれるのは、まずコースが素晴らしい。これはスキルに応じた攻略方法があり、飽きることのないという意味なのだろう。上級者が挑戦しがいがあるなどとされている。もちろんメンテナンスがいいことは言うまでもない。次に歴史があること。そして敷居が高い。これは会員になることがステータスとなり、メンバーになるのには紹介や面接などが必要でハードルが高い。それにマナーにうるさい。かつて小金井で田中角栄がメンバーになるのを断られたという話があった。

しかし、私たちは「名門ゴルフ場」の定義をこう位置付けたい。
もう一度行ってみたいと思わせるゴルフ場。
プレーした後、とっても幸せになれるゴルフ場。
そして「恋い焦がれる」ゴルフ場。
名門は「十人十色、三者三様」。
今年も引き続き福島県内の全コース制覇を目指し、名門発掘に努めたい。