オータムとテクニカル判定について | siennaのブログ 〜羽生君応援ブログ〜

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羽生結弦選手の現役時代をリアルタイムで体験できる幸運に心から感謝しつつ、彼のスケートのここが好きあそこが好きと書き連ね、ついでにフィギュアにも詳しくなろうと頑張る欧州住まいのブログ主です。

(すみません、訂正箇所有ります。赤字部分です

 

夏休みが終わったと思ったら仕事がまとめて襲ってきたり、フィギュアスケートシーズンは情け容赦なく進んだりで、さっさと記事をまとめる能力のない当方、すっかり置いていかれてます。

 

ジュニアはJGPFに進出する選手が決まり出しました。男子は鍵山くん、サムソノフ、佐藤くん、モザレフあたりは確定とか。トリノには行 く予定なので日本男子2人見れるのは嬉しいですね。女子は確定がワリエワ、リウ、そして有望なのがヘイン、ウサチョワ?日本女子的には厳しい感じ。

 

オータム、ロンバル、USクラシック、ネペラ、ネーベルとチャレンジャーシリーズを終えたシニアは、一つの試合での総合得点的には女子はトゥルソワが238.69でトップ、紀平さん224.16、シェルバコワ218.20、メドべ217.43、他にも200点超えはリーザ、さっとん、ヨン・ユー。花織ちゃんは200点には届きませんでした。

 

男子は279.05で羽生くんがトップ。ボーヤン、エイモズ、メッシング、刑事、草太(!)、ジュンファンと続いてます。

 

ネーベルが終わりフィン杯まで2週間空く間にJOがありますね。ここでネイサンと宇野くんのフリーが見られるので楽しみです。

 

さて、羽生くんは恒例初戦オータムでまずは順当に優勝を飾り、優勝しながらも宿題を持ち帰れた、ご本人ならば「贅沢な」と形容しそうな結果でした。

 

しかしながら、トウループ3本刺しという宿題の正当性にはかなーり疑問が残りました。ご本人のコメントは

 

「そんな刺さってました?トーループが2つ、刺さってます?あれで刺さるの?4ループが刺さっているわけじゃなく?それで点数が出ないのか…。アクセルトーは3、3の方ですかね。普通に降りたなと思ったんですけど。トーループに関しては自分の感覚としては疑問がないので。あまり深く考えてないです」

 

このコメント、何気に好きなんですよ(笑)。もう10年も4T跳びまくってきて尋常じゃない成功率を誇る上に常に厳しい微調整を重ねてる選手が、一度だって跳んだことないテクニカルなんぞ相手にしてない感じがナチュラルにあってかっこいいじゃないですか。彼自身スケオタとしていろんな試合を追って、大会ごとのTP判定のバラツキなんてちゃーんと把握してるでしょうし。

 

まあ、この演技を見た大半の人は、怪しい、厳しすぎる、他選手の判定と比較してもおかしい…とこの判定を捉えたわけですが、ISU主催のGPでもチャンピオンシップでもないCSという格下国際大会です。ISU内部では問題にされないんじゃないですかね。テクニカルパネルに外部の目が入るのはISU主催大会や五輪だけという事情がありますから。

 

ジャッジパネルは大会の1カテゴリー終了後に、ラウンドテーブルディスカッション(RTD)があり、試合を同時採点していたレフェリーのガイダンスが入りますが、テクニカルパネルの終了後のミーティング(テクニカルパネルディスカッション)は非公開でレフェリーは参加せず、テクニカルパネルの身内のみです。

 

図式的には、「レフェリー+ジャッジパネル」「テクニカルコントローラー+テクニカルスペシャリストとアシスタントスペシャリスト」に分かれる感じですね。レフェリーとテクニカルコントローラーが異なる国の出身であることでないこと(推敲不足で全く逆の意味になってました…訂正します・汗)がCSのような格下大会では特に求められていないのはこのためです。当該カテゴリーが終わればレフェリーは大会運営全般やジャッジの採点についてレポートを出し、テクニカルコントローラーはTPの働きぶりに関してレポートを出すというように、コントロール系統が違うのです。

 

しかし、GPS以上のISU主催大会にはOfficials Assessment Commission(OAC:判定役員評定委員会)がTPのモニタリングにも関わってくるのでTPにも外部からの評価が入ることになります。昨シーズン感じられたような頭でっかち尻すぼみ的な(シーズンが進むにつれUR判定が緩くなってきた)テクニカル判定、ひょっとしたらOACの存在にも一因があるのかも。

 

しかし、ジャッジパネルに比べTPの誤審認定への道は遠く長い…。TP誤審を注進できるのはOACメンバー、ISU会長、ISUカウンシル(理事会)、スポーツダイレクター、技術委員会の他、レフェリーもRTDでの議論の結果に従いフィギュア副会長に報告できますが、その注進を受けたフィギュア副会長(現在ラケルニク氏)が4人のオフィシャルを指名し個々に当該ケースを判断させ、2人以上が誤審と認めれば副会長はビデオやTPの議論の録音をチェックし、確認した上でISU理事会に報告し、理事会が最終的に決定する…。それでも誤審した当人は4段階あるアセスメントの1段階にしか相当せず、そのアセスメントは3年経てば消失するのです。ジャッジがアセスメントのどの段階に位置しているかは確か公表されないはずで、4段階目に達してから降格が決定・公表されるんだったかと。

 

1回1回これだけ長大なプロセスを踏むのに4度目のお咎めでようやく降格というのはちょいと甘すぎるのでは。オフィシャルは皆セミナーを受講し適性テストに合格しているのだから、3度もミスを許しちゃいかんだろう、と。せめてスリーストライクアウトで良いのでは?選手にとっては1回1回がとても大事なのですからね。

 

TP判定以外にも、PCSの上限規定に納得できなかったり…。だって、ノーミスで10.00が狙える超トップ選手だけに具体的な影響があり、それ以下の選手は普段のPCSから相応に引くように、とか曖昧な規定なんですよ。そもそもジャッジがミスあり演技に「完璧」の証である10.00を与えるようになったのが上限導入の発端だったんじゃないかな?ジャッジングミスのために選手が犠牲になるのはおかしいと思います。

 

なお、今回の記事を書くにあたっては、ISU総則、ISUシングル・ペア規定、ISUレフェリーセミナー動画を参照しました。