GPFマルセイユ・知られざる舞台裏編 | siennaのブログ 〜羽生君応援ブログ〜

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羽生結弦選手の現役時代をリアルタイムで体験できる幸運に心から感謝しつつ、彼のスケートのここが好きあそこが好きと書き連ね、ついでにフィギュアにも詳しくなろうと頑張る欧州住まいのブログ主です。

 今回は、直接競技や演技には関係ないけれどオフシーズンにでもご紹介しようと考えていた海外記事をば要約でこっそり(2017年1月号独ピルエット誌より)。いかにマルセイユGPFの運営が悲惨だったかというレポです(汗)。あの炭酸せんべいメダルや我らが羽生氏を戸惑わせたバーチャル国旗掲揚、ぐらつく使い回し表彰台等からなんとなく察してはいましたが。フランススケ連、大スポンサー様に三行半を突きつけられてかなりピンチの模様ですねえ。

 かのゲヤゲ仏スケ連会長、スタッフ・ボランティアを招いてのささやかな打ち上げの席で「完璧ではなかったがやり遂げた」と総括したということですが…。タチアナ・フラーデ氏(Fladeはドイツ語名なので読みはフレイドではなくフラーデです。日本では間違った読みがすっかり定着しているので無駄な指摘というのは分かってますがw)のレポによると外部に見える所見えない所で、各国スケ連の怒りを買うに足る様々なトラブルがあったようです。

 まずはオフィホと会場を結ぶ選手用シャトルバス。車両1台あれば十分とするバス会社に丸め込まれてしまったものの当然それでは間に合わず、特に最初の2日間はカオス。タクシーで公式練習に向かう選手が続出し、バスの運行予定表は無用の長物化。ISUの役員職を同年引退したにもかかわらず、経験豊富な大会イベントマネージャーとして特にGPFに派遣されたペーター・クリックさんがいたおかげで(ISUも悪い予感がしていたのでしょう)バス会社の責任者と話をつけ、なんとか事態が改善されたとか。オフィホ自体にも問題があり、選手は一つのベッドをシェアする羽目になったり食事が十分に行き届かなかったり。

 また、現地に行った方には分かると思いますが、ロビーから吹き抜けで見える地下に、スケーター用のラウンジが設けられていましたよね。会場ただ一つのセルフサービスレストランに行列をなし、美味しいとはいえない(安かったけどw)食事でお茶を濁していたファンたちの目には素敵に映ったあのラウンジ、実は水とビスケットしか用意されておらず、それも終わりに近づくにつれ水すら足りず、カナダチームのメディカルスタッフなど自ら買い出しに行く羽目に。メーガンの話によると、女子用更衣室にトイレットペーパーが終日補充されない日もあったそう。さらにオフィホについても出発日にはシャトルバスの予定表がホテルに貼り出されなかったためメーガンたちは仕方なくタクシーで空港に向かったそうです。コーチ用のホテルは別の場所にあったのですが、値段に見合わないユースホステルクラス。米ジャッジは「フランスに来る時はトラブルは予想済み」とため息をついたとか。

 そして現地に集合した約150名の報道関係者にも試練が。なんと、同年のGPフランス大会が初仕事だったメディア責任者が「個人的理由から」来られません、と連絡。仏スケ連は代役も立てられず、責任者不在の事態に。ボランティアの中から臨時で責任者的役割を果たす人が出てきたり、ISUのメディア担当者がカメラマンたちを仕切ったりでなんとか切り抜けたのでした。プレスルームおよびミックスゾーンはロシアやスペインからのボランティア3名しか配置されていなかったため彼らは当然長時間労働。プリントメディア用のインタビューゾーンはトイレを改造した場所につき、当然それなりの臭いが。フォトグラファーたちのポジションも制限されており、その理由に挙げられたのが「満員だから」。ところが会場は完売とは程遠く、日本人ファンがいなければガラガラだったはず。それも仏スケ連の宣伝不足が原因で…。背もたれのない席も不評でした。

 さらにフランススケ連の大会医師が時間通りに現れなかったため、ISUの医師がいなかったら公式練習も時間通りに行うことができなかっただろうとのこと。

 その他、バンケットが開催されず特に若いスケーターたちを失望させたりも…。

 これらの問題の核は、仏スケ連がボランティアの人数をケチったことにある、とフラーデ氏。ボランティアとはいえ食事は提供しなければならなかったんですよね。地元クラブの話によると、スケ連の呼びかけさえあれば、ボランティア志望者はもっと沢山いたのに、ということらしいです。

 フラーデ氏は記事の最後で、人手不足の中過剰な仕事を任された熱心なボランティアをたたえておられました。私も現地でなんとなく思うところはあったものの、さすがにこれほど運営がまずかったとは想像できず。私の好きなジェームス・シプレ組やロリーヌ・ルカヴァリエちゃんのためにも、仏スケ連が可及的すみやかにしっかりとしたスポンサーを獲得して財政難から脱出できるよう、切に願う次第です!