長年ネットで、程よい距離感で仲良くさせていただいている

コクやかさんというおカマの方

(という説明で良いのか、おしりが好きなおじさん。最近はコクボと名乗っている)が、

現在腸の病気で入院されている。

コクやかさんの暇を少しでも潰したい、腸の回復を応援したいというモチベーションで、

コクやかさんご本人や趣味趣向とさほど関係無い内容のブログを書くことにします。

 

 

もつ焼き屋に行ってメニューを眺めた時、

そして知人の腸の病気の話を聞いたときなど、

「腸」というワードで私は大島弓子先生の読み切り「乱切りにんじん」の一コマを思い出します。

 

 

 

これだけでは何も伝わらないのと思いますので簡単に説明しますと、

マンガの冒頭で突然主人公の母が死んでしまい、父親と自分だけの生活が始まります。

 

 

これがこのマンガの1ページ目1コマ目なのですが、

すごいコマなのでわざわざスキャンしてしまいました。

このシンプルな画面に「あっ 面白いマンガが始まる」という何かが詰まっていて

マンガの始まり方として申し分の無い素晴らしさだと思います。

 

 

そこからコミカルに描かれる父と主人公の生活はひどいもので、

葬儀のゴタゴタで寝込んでしまった主人公に

「じゃあてんや物でもとるからいいよ 精をつけなきゃいかん」

とうな重や特上ラーメンライスを食べさせたり、

「今から家事をやっておく事は将来お前のためになることである」と養育費を盾に取り、

「学費という名前のプラズマガン」を突きつけたりする。

 

そんな中、久々に登校した主人公に女友達はわっと抱きついて境遇をなぐさめるのですが、

そこで遠くの方からピースをしながら「腸!」と言ってくれるのが、上述の1コマであり、

主人公が片思いをしているクラスメイト、八束くんなのです。

腸とは英語で「ガッツ」(ガツ)のことである。

主人公も「腸!」とピースを返し(八束くんは父みたいにならないよね)と

少女らしい過大な期待をクラスメイトに寄せている。

 

…これ、すごくないですか。

少女マンガで「好きになる理由」の描き方って色々あると思うんですけど

「母親が亡くなった時に、遠くから『腸!』をしてくれる男の子」

ってとても変ですよね。
でも何か、こういう子がクラスにいたら好きになってしまうだろうなあという

不思議な説得力があって、私はむちゃくちゃこの「腸!」が好きなのです。

 

このマンガはこの後、父とのかかわりや亡くなった母の事、友達や好きな男の子との事が

ユーモアを交えて描かれ、最高の結論に達するのですが

ひとまず遠くからの「腸!」の良さだけでも伝われば幸いです。

 

 

ちなみに内容の素晴らしさと比較して「乱切りにんじん」というタイトル、

家事をやる主人公と全く関係無くはないけど、何かふわっとしてませんか…

個人的には多忙な大島先生が、内容より先に予告カットとタイトルを求められて

取り敢えず出したやつじゃないかと思っていて(大島先生はそういう事が良くある)
そこも好きです。

 

 

コクやかさんは早く回復するといいね。
元気になってもたまにブログ書いてほしいな。 腸〜