「空の走者たち」 増山実 その3 | 瞬間(とき)の栞 

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「レースの中にも、必ず苦しいときがある。

 

自分のペースで走れない時が必ずある。

 

しかし、自分の『時間』が来る時も、必ずある。

 

それまで、レースを捨ててはいけない。

 

要は、タイミングなんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

「空の走者たち」 増山実

 

 

 

 

 

 

【前回より】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

交流した人とは、憧れの円谷幸吉。

 

 

 

ひとみは、ステキなタイミングで、

円谷幸吉に辿り着きました。

 

 

 

ひとみは、幸吉に東京オリンピックで、

一瞬、空を見て微笑んだことを聞きます。

 

 

 

 

「幸吉さん、あの時、走りながら、

何を見上げていたんですか。

 

あの空には、何があったんですか」

 

 

 

 

「その答え、どうしても知りたい?」

 

 

 

 

「それは、明日いっしょに走ろう。」

「その答えがわかるかわからないかは

走ってからだ。」 と、幸吉は、ひとみに

言いました。

 

 

 

 

翌日、幸吉といっしょに走るひとみ。

 

 

 

 

ひとみは、幸吉に、必死でついてゆきました。

 

 

 

幸吉と走りながらの会話。

 

 

 

 

「レースの中にも、必ず苦しいときがある。

自分のペースで走れない時が必ずある。

しかし、自分の『時間』が来る時も、必ずある。

 

それまで、レースを捨ててはいけない。

要は、タイミングなんだよ。」

 

 

 

 

幸吉はひとみに、走りのフォームの欠点を、

的確に指摘、アドバイスしました。

 

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

「ひとみ、昨日、ぼくに訊いただろ?

あの東京オリンピックのレースの途中、

空を見上げた先に、何があったのかって」

 

 

 

幸吉は、指を差して言いました。

 

 

 

 

「あの空なんだ」

 

須賀川の町の上に、青い空が広がっていた。

 

 

 

 

幸吉は、レースの時、ある詩を思い出して

いたそうです。

 

 

 

高村光太郎の詩。

 

 

 

 

智恵子は東京に空が無いといふ。

 

ほんとの空が見たいといふ。

 

 

 

 

ほんとの空とは、須賀川の空だそうです。

 

 

 

幸吉は、須賀川の空が、本当に好きだった

んですね。

 

 

 

東京には空がない。じゃあ、どこにあるんだと

自問したとき、ゴールしたときの空が、本当の

空だと幸吉は思って、最後まで走ったそうです。

 

 

 

ゴールしたときの東京の空には、須賀川の

空が広がっていました。

 

 

 

ひとみは、この時空の歪みによって、幸吉の

命を助けることができないかと考えます。

 

 

 

「だから、幸吉さん、この先どんなことがあっても、

死なないでください!絶対に!」

ひとみは、幸吉に告げました。

 

 

 

 

「幸吉さん、死なないでください。」

ひとみは、もう一度言いました。

 

 

 

 

幸吉とひとみは、走り終わってから、

握手をしました。

 

 

 

手を握る。深く、深く、

なつかしい。

なつかしいぬくもりだった。

 

 

 

 

 

しかし

 

 

 

 

幸吉のその手から、ぬくもりがなくなり、風の中で

幸吉の身体が、少しずつ透けてゆきました。

 

 

 

 

ひとみの時空は、元に戻るために

また、歪みました!

 

 

 

 

 

ひとみの思い。

 

 

 

 

それは、憧れだけではなく、同じ場所に立ち、

空を見上げ、同じ空気を吸い、志や考えを

時代を超えて共有したからこそ、ひとみに、

幸吉の魂が宿り、会話=インスピレーションが

できたんだと、僕は感じました。

 

 

 

私たちが、歴史を辿って、インスピレーション

=息を吹き込まれる、というのも、これに近い

んじゃないでしょうか。

 

 

 

魂と魂の交流は、ひとみに影響を与え、

2020年の東京オリンピックに出場させ

ました!

 

 

 

この物語の主人公・円谷ひとみと実在の

円谷幸吉をメインに、あらすじ・感想を

書いてきましたが、本書は円谷英二をはじめ

とした須賀川の人たち、歴史上の松尾芭蕉、

坂本九、そして、幸吉と熾烈なデッドヒート

を展開したシュトー・ヨーゼフ等、たくさんの

人間が絡み合います。

 

 

 

とくに、シュトーと幸吉の、お互いの空気感

や想いには、とても感動しました。筆者の

増山さんがハンガリーで、シュトー氏を取材

しているので、その臨場感が味わえますよ。

 

 

 

 

物語は、

 

 

 

 

須賀川の空と、フィクション、ノンフィクション

さまざまな事象、人物が複雑に絡み合って、

一つのゴールへと向かいます。

 

 

 

ゴールしたあと、いろんなことを考えさせ

られた小説でした。

 

 

 

読んだあとは、円谷幸吉が見上げて

微笑んだ、須賀川の空が、心の中に

青々と浮かびました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


【出典】

 

「空の走者たち」 増山実 ハルキ文庫

 

 

 

 

 

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