張芸指揮上海フィルハーモニー管弦楽団 2021-2022シーズン開幕コンサート | 上海鑑賞日記(主にクラシック)
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上海鑑賞日記(主にクラシック)

上海生活の合間に聴いた音楽や見たスポーツなどの記録を残します。

日時:2021年10月07日19:30~

会場:上海大劇院コンサートホール

指揮:張芸

演奏:上海フィルハーモニー管弦楽団

ヴァイオリン:黄蒙拉

曲目:

ドミトリー・カバレフスキー:歌劇「コラ・ブルニョン」序曲 作品24 (中国初演)

ヘンリク・ヴィエニャフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番二短調作品22

セルゲイ・リャプノフ:交響曲第2番 変ロ短調 作品66(中国初演)

 

 

感想:

 上海フィルのシーズン開幕コンサート。

そもそも8月の終わりに実施される予定だったが、上海市内でコロナ患者が見つかり延期となって、この日に開催となった。

中国でコンサートを聴く一つの魅力として、日本の演奏会に比べ圧倒的に挑戦的なレパートリーが聴けるという点がある。

 日本の演奏会では、ほとんどの演奏会ではほぼ必ずと言っていいほど「名曲100選」のCDに含まれるような曲がプログラムの一部に含まれ、客寄せ的なメインディッシュの役割を果たす。

 それは集客を気にするオーケストラの都合であり、財政基盤の弱い日本のオケはあまり知られていない曲ばかりを並べた演奏会はまず開かれない。

 ところが、中国のオケは日本のオケが取り上げないような曲を並べて、日本人から見ると挑戦的なプログラムを組むのである。

 この日のプログラムがまさにその一例で、ロシア・ポーランドの作曲家の作品が並び、3曲中2曲が中国初演であり、私もカバレフスキーとヴィエニャフスキくらいは知っているが、リャプノフは多分名前も初めて聴いた印象で、曲としても恐らく初めて聴く馴染みの薄い曲が並んだ。

 まずはカバレフスキーの「コラ・ブルニョン」

 ロシアの作曲家の匂いがプンプンする曲であり、細かいリズムで勢いのある賑やかな曲である。

 で演奏については、初めて聴く曲なのでなんとも判断しずらいが、スピード感のある演奏であり、オケも整っている。

 ただこの指揮者は以前から聴いてきた感想から言えば、音楽的な構成をあまり作らない印象で、効果的な演奏になっていたのかは少し疑問だった。

 まあこの曲自体が国威発揚的な賑やかな内容なのであまり欠点は目立たず曲を終える。

 

 二曲目がヴィエニャフスキのヴァイオリン協奏曲第2番で、今日の中で言えば一番メジャーな曲ということになろうか。

 ただこの曲とて日本で生演奏を聴いたことはなく、第1番がそこそこ弾かれる程度で第2番はネットで検索しても情報は非常に少ない。

 さて、この曲は本来官能的というか内面的な力強さが特徴的なのだが、今回の演奏ではやや力強さに欠けるというか、魅力の表出に欠けるような演奏に映った。

 演奏自体はオーケストラとともに卒なくこなしている印象ではあったのだが、そこに輝いているような印象は見えてこない。

 よってあまり聴き慣れない曲ということもあり、申し訳ないが眠くなってしまったのである。

 ヴァイオリン協奏曲はやはりヴァイオリンの主張が弱いと魅力に欠ける。

 

 そして後半のリャプノフの交響曲第2番。

 中国初演とアナウンスされているが、恐らく日本でも演奏されていないか、数えるほどしか演奏されていない曲だと思われる。

 もちろん私は初めて聴く。

 

1917年というロシア革命のあった年に発表された曲で、世相を反映しているのか、演奏が始まると重苦しいメロディでスタートする。

非常に大きな編成を要する大曲で、やはりロシア的な匂いが強く、トロンボーンやホルンの金管系など切迫感に追い立てられるようなメロディが続く。

 第一楽章の終わりは、歌劇の第一幕が終わったような閉め方で、思わず客席から拍手が起きる。

 オケ全体の演奏はそれなりに迫力があった。

 ただこの指揮者の指揮がどれだけ効果的だったのかは、やはり疑問が残った。

 フレーズとフレーズが効果的に繋がっているような印象を持たず、A・B・C・Dといったメロディをただ並べて演奏しているだけの印象であったのである。

 初めて聴く曲なので何とも言えないが、良い演奏の場合に感じられるBフレーズのためにAフレーズでの準備といったことがあまり考慮されていない印象なのである。

  同様にCの次に来るDというメロディにCのメロディの余韻的な印象も感じられず、音楽がつながっていくことの印象が弱い印象だった。

 つまり音楽としての統一感というか流れが感じられず、各フレーズを繋げただけの結果になっていた。

 

 ただオケ側の演奏自体の反応はよく、弦パートのまとまりや金管の吠え方も良かったので、音楽の流れをうまく考慮してオケを動かせばもっと立体感のある面白い曲として聴けたのではないかという気がした。

 

 まあ、中国の指揮者はいつも最後のフィナーレは盛大にまとめてしまうので、演奏は盛り上がったというか成功したように映ってしまうのだが、初演という看板に隠されて見えなかった部分が沢山ありそうだなと感じた演奏会であった。