MISA開幕コンサート 余隆指揮上海交響楽団 | 上海鑑賞日記(主にクラシック)
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上海鑑賞日記(主にクラシック)

上海生活の合間に聴いた音楽や見たスポーツなどの記録を残します。

日時:2021年7月10日19:30~

会場:上海交響楽団音楽庁

指揮:余隆

演奏:上海交響楽団

ピアノ:羅繊、王雅倫

1stヴァイオリン:柳鳴

2ndヴァイオリン:陳家怡

ヴィオラ:巴桐

チェロ:朱琳

曲目:

メンデルスゾーン:歌劇「真夏の夜の夢」序曲

モーツアルト:二台のピアノための協奏曲変ホ長調 K.365

エルガー:序奏とアレグロ

レスピーギ:交響詩「ローマの松」

 

上海交響楽団による夏の音楽祭「MISA}の開幕コンサート

 

一昨年はNYフィルも来るなど豪華な音楽祭だがコロナ時期とあって、国内アーティストだけのやや地味なし音楽祭になっている。

 

 さて開幕コンサートだからなのかわからないが、曲は結構詰め込まれている。 しかもあとからわかったのだが、このコンサートは休憩なしで、全曲が立て続けに連続で演奏された。

 休憩としては、ステージの組み換えのタイミングのみであり、トイレ休憩はなかった。

 

 指揮者はこのオケの音楽監督余隆さん。

 一曲目は真夏の世の夢、序曲。

 この上海交響楽団、各楽団員の技術的レベルは高く、音はそろっているし、ソロパートなどを聴いても、それなりの水準で鳴らしている。

 したがって全体的としても音としてはまとまっている。

 しかしながら聴いていてつまらない、というか退屈である。

ヒューマライズという要素がちょっと欠けているため、音楽に躍動感というか生命観的なものが欠けている。

  おそらく指揮者のセンスによるものだろう。

 

 確か、この曲は今年の初めに別の指揮者で聴いており、その時はしっかりとオケにグリップを利かせメリハリのある音楽が聴けたのだが、今夜の演奏は、音としては奇麗に響いているのだが物足りない。

 

二曲目はモーツアルトの二台のピアノための協奏曲で、ステージ前方に左右からピアノを組み合わせて並べ、白と黒の対照的な衣装を身にまとった女性奏者たちが両側に座り演奏された・

 さて演奏が始まると、ソリストは音量・タッチともに卒なくこなしており、技術的な低さは感じなかった。

 ただモーツアルトらしさというか、軽やかな音楽の運びは演奏から聴こえず、全体として硬直した演奏になったのは残念だった。

 オケ側も然りで、演奏としてはしっかりした音を鳴らしているのだが、モーツアルト特有のウィットに富んだ演奏は聴かれなかったのである。

 これは中国の音楽教育の根本に起因する問題なのかもしれず、技術が優先し表現の育成がおこなわれなかったのかもしれない。

 

 

 

 そして休憩と思いきや、続けてエルガーである。

 この序奏とアレグロは、ほんの60年ほどに作曲された弦楽合奏と弦楽四重奏のための作品で、弦楽四重奏はこのオケの首席奏者が務める。

 この日の演奏の中で比較的まともな演奏な印象で、音楽的表現についてはやはりまだ物足りなさを感じるが、音の美しさはそれなりで、心地よい響きを体感することができた。

 ただ低弦部の響きについてはまだ不満を覚えるレベルであり、指揮者のドライブ力の向上を期待したいところである。

 そして最後がローマの松。いわずと知れたレスピーギのローマ三部作の最後の作品。

 たくさんの楽器が登場する巨大編成でも知られており、

 さて、演奏が始まると、残念ながら少し違和感を感じた。

 メロディの歌い方が、私の知っているローマの松とはかなり違ったのである。

 冒頭のキラキラは普通に入ったようには聞こえたが、ホルンが訛っているというか、ちょっと違和感があり、その後の展開も全体的に躍動感にかけ、音楽がスペタクルには推進していかない。

 決して演奏が下手くそなわけではないが、どうも音楽としてはぎこちない。

 また第二部のカタコンブの松あたりも、ピアノの音色には少し違和感があった。

 ローマの街の風景の偉大さを表現するような荘厳さにも欠け、音ばかりただ大きくなっていた印象だ。

 第三部の木管のソロ、クラリネットやオーボエなどは美しい音色を鳴らしており、個々のメンバーの表現力はそれなりにあり、演奏としても悪くなっかった。

 ただ、その直後の小鳥のさえずりをホール上部の反響版に映し出す、のはよかったにしろ、小鳥の鳴き声の人工音にはやはり違和感を覚えた。

 さらに第四部の冒頭のピアノの刻みも私の知っているメロディとはちょっと違い、やはり違和感しかなかった。

 そして基本通りパンダ(別編隊)も使っていたが、効果的な演奏には特に聴こえなかったのである。

 そしてこの指揮者はフィナーレに向けたアクセルの踏み込みが速すぎると印象だった。

 じっくり盛り上げていくといったクレッシェンドカーブではなく、どんどん力づくでマックスまでもっていってしまった印象である。

 最後は爆発するような大音量になったが、決して音楽的に美しくなく、うるさいだけである。

 演奏終了後に中国人聴衆からはブラボーの声も聞こえたが、私としてはどちらかというと興醒め気味だった。

 そんな感想を感じたこの演奏会だった。