最低賃金の引き上げの是非について

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今月末の衆院選には、様々な争点が出てきています。
その中に、労働者の最低賃金引き上げに関する問題も出てきています。
その是非については、立場の違いにより色々と議論があります。

参考↓『良薬?劇薬?最低賃金1000円も争点に』
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/287855/
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090809-00000573-san-pol

(以下、記事を引用...)
最低賃金の引き上げが衆院選の争点の一つに浮上してきた。民主、社民、共産の野党各党に加え、与党の公明党も大幅アップをマニフェスト(政権公約)に盛り込み、給与アップを強調する構えだ。最終的な引き上げ目標は、現在の全国平均の1.4倍に当たる時給1000円。これに対し、自民党は慎重姿勢をとっている。最低賃金の引き上げは消費拡大につながるとの指摘がある一方、失業増につながる懸念も出ている。果たして良薬か劇薬か-。
最低賃金は、企業がこれよりも低い賃金で労働者を雇用しないように定める賃金水準として、都道府県ごとに決められている。今年度の地域別最低賃金改定額を議論する厚生労働省の審議会は7月29日、前年度より7~9円アップの710~712円への引き上げを答申した。
民主党はマニフェストですべての全労働者に適用する「全国最低賃金」を新設し、その水準を当面時給800円にする考えを表明した。直嶋正行政調会長は7月27日の会見で「最終的には平均で1000円を目標にする」と強調。負担が増える中小企業には年2200億円を助成すると説明した。社民、共産、公明各党も1000円への引き上げを方針として掲げる。
一方、政府や自民党は最低賃金の急速な引き上げには慎重だ。舛添要一厚生労働相は「高い目標を設定することは結構。だが、中小企業を倒産させず、雇用を守りながら、そこに至る道筋はどうなのか」と、否定的な見解を示した。
最低賃金引き上げの背景には、一部地域の最低賃金が生活保護水準を下回る「逆転現象」問題がある。宮城など12都道府県でこの逆転現象が起きている。
平成20年度の最低賃金の全国平均は703円。1日8時間週5日働くと、年収は140万円程度になる。一方、厚労省によると、20~40歳の単身者の場合、生活保護費の最低保障の標準額は高い地域で月約14万円。この状態では、働いても所得が生活保護の支給額を下回ってしまい、ワーキングプア(働く貧困層)が生まれる一因とされる。
最低賃金の引き上げで時給が1000円になれば、年収は200万円程度に上昇する計算で、労働者の格差是正につながり、生活保護との逆転現象も解消される。
昨年度の最低賃金が最も低かった宮崎県。ある鶏肉加工食品会社の場合、従業員27人のうちパートなど非正規労働者が22人を占め、その時給は最低で670円だ。これが時給1000円になれば、1日8時間働いた換算で、賃金は1日あたり2640円も増える。家計が潤うのは確かだ。
全労連系の労働運動総合研究所は、最低賃金が一律1000円になれば、消費が刺激されて生産も活発化し、結果として国内の生産額が年間約2兆6000億円増えると試算する。
だが、経営者側には一大事だ。特にもうけの薄い中小企業には人件費の増加が経営圧迫につながることへの警戒感が強い。「最低賃金が1000円になれば、製品価格の上乗せや、労働時間の調整などの企業努力で補っていくしかない」と、この鶏肉加工食品会社社長(46)は話す。
人件費の増加は製造コストの上昇を招き、雇用にも影響を及ぼしかねない。北海道大大学院の安部由起子教授(労働経済学)は「懸念は労働需要が縮小し、失業率が上がること。特に地方には影響が大きい」と分析する。企業がコストの安いアジア諸国との価格競争から生産拠点の海外移転を加速させれば、働く場所そのものが失われかねない。早くも「国の手厚い支援は不可欠になる」(鹿児島県経営者協会)との声も上がっている。

■最低賃金 事業主が支払う最低限の賃金。毎年夏に行われる厚生労働省の審議会が設定する目安に基づき、各都道府県の審議会が引き上げ額を答申し、労働局長が正式に決定する。景気回復や格差解消を求める世論が追い風となり、平成19年に14円、20年は16円と大幅に引き上げられ、初めて700円を超えた。昨年施行の改正最低賃金法は、生活保護の水準を上回るよう求めている。

最低賃金が引き上げられれば、雇用者の負担は増えることになります。
人件費総額を増やしたくなければ、雇用人数を調整するしかなくなります。
これまでギリギリの賃金だった雇用者にとっては、かなりダメージが大きいでしょう。

反面、最低賃金で雇用されている側は、これまで生活が厳しかった筈です。
引用記事には、時給が最低670円なんていう金額も書かれています。
1日8時間労働で1ヶ月22日稼働だとしたら、月給117,920円と計算されます。
生活保護の最低保証の標準額が14万円ですから、勤労意欲も失われてしまいます。
それに、給料としてもらうと色々な金額が引かれていきます。
当然ですが、額面金額よりも手取り額は少なくなります。
あまりにもバランスが悪いという気がしますね。

もし最低賃金が1,000円になれば、月給は176,000円、年収2,112,000円程度になります。
これでも、可処分所得は200万円以下になるでしょう。

その裏では、年収100万円アップという公約を掲げている政党があります。
単純計算すると、時給を473円程度アップしないとこれは達成されません。
最低賃金を1,000円にしても、これにはまったく届かないということです。
つまり年収アップは、高所得者が何百万円もアップして平均で100万円ということです。

実際のところ、すぐに最低賃金を引き上げるのは難しいかと思います。
ただ、引き上げに向けてのロードマップを示して欲しいという気はします。
生活保護との逆転現象は、ある時期改善されて然るべきだと思いますね。
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