ラブ・レター | 渡辺修也オフィシャルブログ「雨ニモマケズ」Powered by Ameba

ラブ・レター

毎朝届くのです
私宛のラブ・レターが
はっきり言って意味不明で
そもそも私の国の言葉で書かれてないのですが

開いてみてそっと
その文字をなぞり紙に写し取ってみれば
得も言えず心が満たされ まなじりも潤む
間違いなくこれは私宛のラブ・レターだと

どこで書いてらっしゃるの
遠く南方の大マグロの口の中
それとも厳しい北の山奥の
グリズリーの右手を借りてらっしゃる

というのもどことなく生臭く
血のついた爪痕のような筆跡
人の一人でも殺してみなきゃ
こんな恋文など書けないでしょうに

いま烏が三度鳴き
発情期の猫が親を探して鳴きました
赤子の声に似てました
まもなく皆が起きますので私は寝ます
私が私を愛するための香りがする
この紙束を胸に抱いて