カラス | 沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

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Kyoto Jazz Massive 沖野修也 Official Blog

日本に帰国して

駐車場で車をピック・アップし、

直ちに実家に向かった。

弟からの報告によると

僕が出国する前に病院に連れて行ったにも関わらず、

その時に処方された薬を全く飲んでいないようなのだ・・・。

年老いて行く母を放ったらかしにして海外に行くのは忍びなかったが、

週に3回は訪問看護とヘルパーを頼んでいる。

僕も日本にいる限り週に1〜2度は顔を出すようにしている。

正直、

東京と京都を毎週末往復する僕にとっては難行でもある。

それでも残り3日は独りにさせてしまうので、

無理をしてでも実践している。

母の顔を見に行くことは、

自分を安心させる為でもあったからだ。

施設に入ることを子供に捨てられることだと

思い込んでいる母を説得するのは簡単ではない。

それはまだ先のことになるだろう。

法定速度ギリギリで高速を飛ばし、

空港から2時間もしないうちに

僕は生まれ育った家に辿り着いた。

 

車庫入れをする時に、

玄関付近で黒い影が動いていることに気づいた。

近づいてみると傷付いた一羽のカラスが、

壊れた機械のように不器用に羽根を開閉している。

 

「あんた丁度えー時に帰って来てくれたわ」

 

母は元気そうで、

少し若返って見えた。

血色も良かった。

 

「家の壁にぶつかって落ちたんちゃう?

何とかして」

 

カラスは目を見開いて大きな呼吸をしていた。

耳を澄ますと高い周波数で長い小さな奇声を発している。

口から血を流し、

足を痙攣させてもいた。

 

「カラスを飼うのは反対やで!」

 

と僕を睨みつける母を無視して、

僕は、

いつも愛犬を連れて行く病院にそのカラスを連れて行った。

元気になったら放すに決まっているし、

そもそも一命を取り留めるかどうか、

僕には知る由もなかった。

病院に着くと

院長が緊急診察という形で対応してくれた。

で、

何故か僕も横になるように言われた。

カラスと一緒に診察台に並ぶ僕?

いや、

僕がカラスになってるやん!

視界に入る院長が、

もう一人の僕に話かけている。

 

「沖野さん、

診察料5000円かかりますけど、

いいですか?」

 

院長が両手で僕の羽根を掴んでゆっくりと開く。

 

いたーーーーーーーーっ!

 

心の悲鳴で目が覚めた。

僕はまだロンドンにいた。

Wood Green駅から徒歩1分の距離にある

Green Roomsというホテルに。

朝の4時半だった。

 

PS

 

数週間前からずっと両肩が痛いんです。

 

PPS

 

僕は自分が前世、

鳥だったと思ってるんですよね。

 

2019/12/4