Ancient Future | 沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

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ニュー・アルバム『UNITY』では新主流派の現代化を基調に、スピリチュアル・ジャズ方向にも翼を拡げました。その際、僕がモデルとして想定したのはMcCoy Tyner。前作でカバーしたJoe Hendersonの「Jinrikisha」もピアノは彼だったんですよ。同じくカバーしたLee Morganのプレ・スピリチュアル・ジャズ「Serach For The New Land」のピアノはHerbie Hancockなんですが、Hancockって70年代には呪術的アフリカン→ジャズ・ファンク/電子音楽に移行していったので、やはり『UNITY』ではMcCoyの影響が大きいかもしれません(勿論、作曲家としてのHerbieは常に理想ではあります)。

 

前作アルバム発売後、「Love Samba」をKYOTO JAZZ SEXTETでカバーしてみたいなんて事をメンバーにも伝えたものの、自分の中でまたカバーに頼るのは・・・という後めたさもあり・・・。それで一念発起してオリジナルを書いた訳です。McCoy Tyner的な曲をと。

 

スピリチュアル・ジャズの代表的アーティストは勿論、Pharoah Sandersなんですが、僕にとってもMcCoyは超巨匠。共にロンドンのジャズ・カフェで僕がプロデュースしたSleep Walkerがオープニング・アクトを務めたこともあってご両人には面識もあるんです(Pharoahさんはレコーディングしたこともあり、日本で何度もお会いしてます)。

 

故に平戸祐介には若かりしMcCoyに拮抗するプレイをお願いしたりもして・・・(メンバーにレジェンドの名前を引き合いに出すのは嫌がられますw)。以前、ブログにも書きましたが、この曲ではマイルス派の類家心平に「Hanibal Marvin Petersonのように」とリクエストして困らせてしまいました。McCoyにしろ、Hannibalにしろ真似をしろという意味ではないのです。そのテンションというかクオリティーに近付いて欲しいという希望です。メンバー達のスタイルのままで。

 

タイトルの「Ancient Future」は、ずばり"太古と未来の混在"から来ています。僕が尊敬するピアニストで作曲家の吉澤はじめさんがよく「縄文」という言葉を口にしてたんです。彼のスケールの大きなプレイは、原始的というか野蛮というか、すごくプリミティヴで本人がどういう意味で「縄文」と口走っていたのかは今も謎なんですが、吉澤さんの門下生でもある僕の中では日本人のルーツを感じさせるメロディーは"縄文的"なんです(笑)。その上でAT JAZZなんかが作りそうなテクノ/ハウス的なダンス・ビートを導入することで面白いコンビネーションが出来るじゃないかなと。言うなれば、縄文風テック・ジャズを作る・・・みたいな!何だかよく判りませんね。

 

ちなみに、類家君のソロの後のブレイクは、「Still In Love(Kyodai Remix)」へのオマージュになっています。

 

McCoyやHannibalとAT JAZZやKyodaiの影響を1曲の中に取り込んでいるから、「Ancient Future」なんですよね。我ながら欲張りなんだと思います。